では、私にとって人間関係、人脈とは何かというと、大げさかもしれませんが、「人生を救ってくれるもの」「人生を豊かにしてくれるもの」まさにそういう存在です。
自分のこれまでの人生を振り返ってみると、
そんなときに励ましてくれたり、手を差し伸べてくれたり、助言してくれたりして、課題解決に導いてくれたのは、すべて自分とつながっている「人間関係」「人脈」の人たちでした。
人間はひとりで考えたり、学んだりすることには限界があるものです。
でも、3人の力を借りれば、4倍の知識、4倍の人生経験を活用できます。人脈の力は計り知れないものがあります。
何よりも、「食べること」が好きな私にとって、その楽しみを分かち合い、楽しい時間を共有してくれる人がいることで、幸福感は倍増します。
人と出会った際に自然に話が盛り上がる人がいます。お互いが共感することによって、強い結びつきができるのです。
これがケミストリー(肌が合う、フィーリングが合う)ということだと思います。そんなケミストリーの合う人と巡り合うことができるのも、大いなる幸せです。
さらには、人との交流から新しい発想が生まれたり、新しいビジネスも生まれたりすることもあります。なかでも、自分が引き合わせた人同士が意気投合し、新たな活動やプロジェクトが始まるのは無上の喜びです。
人脈を得たことで、人生における喜びは間違いなく何十倍、何百倍にもなっていると思います。
ただ、こうして今リタイア後の人生が楽しく充実しているのは、今までの人脈活動のおかげであることはまちがいありません。
各所からひっきりなしに人の紹介を頼まれ、「人脈の達人」「スーパーコネクター」と呼ばれることもある私ですが、それらの言葉から世間がイメージするような「機を見るに敏」なタイプではありません。
むしろまったくの真逆で、人見知りの「内向型」、おまけに「口下手」です。
たとえば異業種交流会で知らない人に臆せず話しかけていかにも親しそうに話し込む……なんてことはまったく苦手です。
意を決してそういう会に参加したこともありますが、数人と名刺交換をして、一言二言会話を交わしただけで終了。しかも、その頼みの数人ともその場限りで終わってしまいました。
そもそも40歳になるまでは典型的な仕事人間で、交友関係は仕事関係者だけでした。
当時、生命保険会社の破綻が続いたこともあり、保険会社の経営体質を強化し、健全性を確保するための制度づくりを業界の中心になって奔走した時期で、プライベートで会食するゆとりがなかったことも理由です。
40代も半ばに差し掛かろうというころになって仕事も落ち着き、ようやく時間的に多少の余裕ができたとき、「仕事ばかりで、自分の人生はこれでいいのかな」という漠然とした不安に襲われ、はじめて仕事以外の分野の人との人脈づくりを意識するようになりました。
だから、私の人脈は40代半ばから築いたものです。その意味では何歳からでも「遅すぎる」などということはまったくありません。
私は内向的人間ではありますが、親しい人、気の置けない仲間との交流を心から楽しく思っています。おそらくこれは私だけではなく、多くの内向型人間の共通点ではないでしょうか。
よく誤解されているのですが、内向型だからといって、決して「人嫌い」というわけではないのです。