「上司への報告」仕事ができる人の伝え方とは?

上司へ報告
「伝え方」には誰もが再現可能な「型」があります(写真:ふじよ/PIXTA)
ビジネスパーソンであれば欠かせない「上司への報告」。「伝え方」には誰もが再現可能な「型」があります。「上司への報告も、型を使えば最適な伝え方ができるのです」と、博報堂のコピーライターとして、国内外20以上の広告賞を受賞してきた井手やすたか氏は言います。同氏の新刊『伝え方図鑑』から一部抜粋、編集してお届けします。
 

ケース:業務の成果を上司に報告したいAさん

ここでは、難解だったり複雑だったりする情報が、より簡単に、シンプルに伝わる伝え方について、実践のケースとして、ビジネスパーソンなら誰もが通る道、「上司への報告書」というケースにスポットを当ててみます。

■状況

若手社員のAさんは、取引先の企業Bとのプロジェクトを任されていました。クライアントの新商品発売プロジェクトに、彼は流通の関係会社の営業として参加しました。入社してはじめて彼がメインの担当者として携わった仕事ですから、彼にはその成果をできるだけ大きく報告したい、という思いがあります。

さて、まず彼は、報告する際の資料づくりから取り掛かることにしました。なんといっても自分自身の成果報告ですから、彼は今回のプロジェクトで自分がクライアントに提案した部分のみを抜粋してまとめることにしました。

用意した資料「今年の提案資料一式、そこからの抜粋した10ページ」。しかし、この発想には問題があります。自分自身のしたことを中心にそれだけでまとめる、という視点は、その報告を受ける「上司の視点」を忘れているからです。

このプロジェクトに関わっていない上司からすれば、まずは前提となる情報からインプットしてほしいはずです。Aさんの初手としての正解はきっと、

「このプロジェクト全体のスケジュールやプロセスの構造図」

「そのプロジェクトがどんな人員体制で進んでいたかの組織図」

という資料をまず用意することでしょう。つまり、プロジェクト全体がどう進んでいて、その中でAさんがどういうポジションで関わったかを上司は見たいのではと思うからです。この発想は、以下のような【「構造化」の型】、【「俯瞰」の型】の活用です。

『伝え方図鑑』より引用

わかりやすい結論を用意する

全体の構造をまず俯瞰させて安心してもらったら、いよいよ彼の成果を伝える準備が整います。今回のケースでは、上司が求めている内容がはっきりしている(=部下からの成果報告を知りたい)ので、以下の【「結論から」の型?】に則り、わかりやすい結論を用意する方向で進めたほうがよいでしょう。

『伝え方図鑑』より引用
■報告資料づくりに活かせそうな資料
「取引に関する見積もり書、納品書など」
「新商品の詳細資料」
「全国の導入店舗マップ」
「流通への導入に関する提案書」
「店頭での陳列指示書」
「店頭什器の事業者選定に関する資料」
「Aさんの実働時間を記録した勤務データ」
etc.
 

報告に使えそうな資料を改めて振り返ると、これだけの資料がありました。でも正直、ただ情報を羅列されただけだとわからない、ですよね。このすべてを報告に盛り込むと(それぞれを簡略化したとしても)情報が渋滞してしまいそうです。ふだんから忙しい上司にとっては「ポイントを絞ってくれ!」と言いたくなるでしょう。

■資料のまとめ
ここで、一気に複数の型を使ってまとめていきます。
【「ポイントは3つ」の型】、
【「MECE」の型】、
【「目的と手段」の型】です。
 
『伝え方図鑑』より引用

報告するポイントを、下記の3点にまとめました。

①Aさんが「流通への導入支援」でどう活躍したか
②Aさんが「店頭での陳列支援」でどう活躍したか
③その活躍が最終的な売上につながった事実