①と②は、Aさんが携わったプロジェクトの「前半」と「後半」のプロセスにあたります。そしてその「結果」としての③。これはモレなくダブりのないMECEの構造になっています。
また、③という目的に、①と②という手段がつながる、という関係になっているのもポイントです。
さて、これで資料は揃いました。あとは、上司にこの資料を見てもらいながら、【「メリハリ」の型】の発想を使って「今回のプロジェクト、長い間いろいろと携わりましたが、ご報告したいのは3つのポイントだけです」とシンプルに伝えるだけですね。
いかがでしょうか。
ここまでで学んだ知恵を駆使すれば、複雑な説明も上述のようにシンプルに伝えることが可能になります。大切なのはやはり、「初見で説明を受ける上司の視点を想像して、わかりやすい構成を心がける」ということでしょう。
次に、「相手がよく知らないこと/興味のないこと」をどうすれば最も効果的に伝えられるかを、その例として、これまであまり人気のなかった市開催のマルシェイベントの活性化というミッションを与えられてしまった、ある市の職員Dさんのケースを考えていきます。
イベントとして人気がなかったので、あまり知られていないし、市民からも興味を持たれていない現状。何から始めていいのか、何をすればいいかもわからない中で、とりあえず仕事をふられてしまった状況です。マルシェイベント自体は、市内の農家さんがとれたての野菜を出したり、飲食業者が出店したり、週末の催し物としては悪くない内容です。
Dさんはとりあえず、そのマルシェで買えたり食べたりできるものや、開催される日付や場所をまとめてみたりしたのですが……ただ情報としてまとまっただけ。本当にこれでいいのか……と、悶々と悩んでいるうちに手が止まってしまいました。
とにもかくにも、まずはこの型に尽きます。マルシェに来てほしい人(ターゲット)が、何を考えていて、来てくれるとしたら何を魅力に感じるのか。それをがんばって想像することです。取材したり、調べたりして、イメージの解像度を上げていく作業が必要です。Dさんは、自分の周りでターゲットに近い人に話を聞いてみることにしました。
Dさんの奥さんとそのお友達……主婦は日頃からスーパーで野菜など必要なものは買っている。週末にわざわざ野菜を買おうと思わない。近所のスーパーに売っていない、違う価値を感じるものならちょっと考えるかも。
Dさんの娘(高校生)とそのお友達……何かを買うことより、イベントとして楽しめるかどうかが大事。その場でおいしいものを買って食べたりできるのはワクワクする。写真映えするとSNSに投稿できるのでなおうれしい。
なんと、話を聞いてみたら、市が考えていた魅力の伝え方がかなりズレていたことがわかり、Dさんは驚きました。
この内容は、改めて読むと、市の職員が伝えたい情報をただ記載しているだけでした。ターゲットである主婦や若者には刺さらないのは当然です。相手の視点に立って、期待されていることの優先順位を上げて伝えたらよくなるはずだ。そう考え直したDさんは、以下のような要素をメインに伝えることにしました。