近い未来「ゲームの作り方」が劇変する納得の理由

つまり企画の段階からも、「マリオのような世界観のRPGを」とか、「ファイナルファンタジーの世界観が詰まった縦スクロールのアクションゲームを」といった使い方もできるのです。おそらくすでに活用して、斬新なゲームを開発しているクリエイターはいると思われます。

エンタメにおける生成AIが描く未来においては、アップルやグーグルがまだ今ほど大きくない、初期のころから投資をしてきたアメリカの大手VC、セコイアが公開している「Generative AI: A Creative New World」(*2)の内容が興味深いので紹介します。

「文書作成においては、コピーライティング、法的文書など専門領域の文書作成、脚本制作ができるようになる未来が見え始めている。そのほか、メモや文章を生成AIに入力することで、ピクサー映画レベルの作品を作れるようになる

ゲームにおいても瞬時に、Robloxのような壮大なゲーム開発プラットフォームならびに、プレイができるようになる。プログラミングにおいても、GitHub Copilotを使えばプロジェクトで使われるコードの40%近くが自動生成できる」

そのほか、同発表では「エンタメ業界に限らず、iPhoneのアプリやスニーカー、ロゴ、建築物などのデザインが行えるようになり、かつ、3Dプリントで出力できるような未来が予測できる」と論じています。

Robloxはゲーム開発プラットフォームであり、GitHub Copilotは先述したとおり、Microsoft Officeに搭載されているような、AIがコーディングを提案する機能で、オープンAIとGitHubが共同で開発しています。

ユニークなのは、著者の欄にGPT-3がクレジットされていることです。こちらの発表ではそのほか、労働生産性、経済的価値、生成AIのリスクなど、幅広いシーンにおける未来予測を論じていますので、気になる方は読んでみるといいでしょう。

生成AIと人間は、同じ土俵で闘うべきなのか?

アメリカはテキサス州で行われたCGコンテンストで、Stable Diffusionで作成した作品が1位を獲得し、話題になっています。AIが描いた絵でもいい肯定派、反対に、それを認められない否定派という対立構造も生まれています。

生成AIが当たり前に広まっていくこれからは、このような問題、議論は繰り返し起きるでしょう。実際、ほかのトラブルも起きています。

アメリカのIT企業で働くデザイナーが、Midjourneyを使って絵本を創作し、アマゾンで販売していることに対し、同業のイラストレーターなどのクリエイターから、批判が集まっている事例です。

小学生の夏休みの宿題でありがちな、夏の思い出を一枚の絵に描くといったことも、生成AIで行う。このような生徒や親御さんが出てくることも、十分考えられます。というより、すでに利用している人はいると思われます。

このような背景を受けてか、オープンAIはAIが書いた文章かどうかを判別する「AI Text Classifier」というツールを公開しています。おそらく今後は、画像領域でも、同様の判定AIを発表してくると思いますし、同じく生成AIを開発している各社が、似たようなサービスを開発・提供する流れになるでしょう。

AIが作成した作品でもあっても、人が感動すればよい。それはれっきとしたアートである。このような考えから、AI賞という別のカテゴリーを設ければよいのではないか。そんな考えや動きもあります。

難しいのは報酬や著作権

議論を深掘りしていくと、そもそもアート、クリエイティビティーとは何なのか、という点に集約されます。「コンピューターの力を借りるなんてけしからん」といった感じで全面否定する人もいるようですが、私はそのような考えには否定的です。