生成AIが急速に進化していますが、音楽の世界にもますます広がりそうです。まず、作曲活動においても、本格的な楽曲が簡単にできるようになります。
ユーザーはテキストで望みの楽曲のテイストを打ち込むだけ。「ジャズっぽい3分くらいの楽曲を作って」とか、「〇〇のアーティスト風のテイストの楽曲を作って」と投げるだけで、即したテイストの楽曲が生成されます。
アーティストというのは、それぞれが独特、独自のパターンと言いますか、テイストを持っていますよね。ゼロからそのような曲を生み出すことは、もちろんそのアーティストにしかできないことです。
一方で、すでに発表されている多くの楽曲から、イメージしている楽曲を創作することは、生成AIの得意分野になります。
つまり、音楽創作の知識や技術がまったくない素人でも、それなりの楽曲を作ることができるようになるのです。
実際、生成AIによる楽曲サービスはすでに多く発表されています。「Drayk.it」はその1つです。
カナダ出身のラッパーであり、俳優でもあるドレイク氏。ミリオンセラーを何度も達成している、名実共に偉大なアーティストである彼のような楽曲が作れるアプリです。
ユーザーは、自分が作りたいスタイルの文章をテキストで入力するだけ。すると生成AIが、ドレイク風の楽曲を作ってくれます。
音楽制作における生成AIの使い方としては、大きく2つのシーンが考えられます。
1つは、すでにプロのミュージシャンが、これまでとは違ったテイストの楽曲を作ってみる。できた楽曲にさらなるアレンジを加える際の利用です。
オン・オフどちらでも構いませんが、これまではアーティストが集まりセッションをすることで、アレンジを行っていました。もちろんこのようなリアルな集まり、取り組みも重要ですし、今後もなくなるとは思いません。
しかし、生成AIを使えば手軽に、さまざまなテイストの楽曲を、簡便かつスピーディーに生み出すことができるのです。
そうしていろいろと試したうえで、「これだ!」と思った楽曲が生成AIによって生み出されたら、そこからはプロのミュージシャンに実際の演奏をお願いして作り上げる。このような使い方も考えられます。
もう1つはプロではない、あるいはプロであってもそれほどメジャーではないミュージシャンの活用方法です。TikTokやInstagramへの投稿をきっかけに、一気にスターになるような流れが一般的となりつつあります。
この流れが、生成AIを使うことで加速します。とくに、TikTokのような動画は音楽が重要な役割を占めます。たとえばダンサーを目指している若者が、自分のダンスにあった楽曲を作成することで、高品質な独自の音楽が生成できるようになる。余った時間を活用し、自分はダンスに集中することができるからです。
YouTubeも同様です。有名になりたい、もしくは一攫千金を狙いたい人にとっても、自分のパフォーマンスにマッチした楽曲を、生成AIが簡単かつスピーディーに作成しやすくなります。