スポーツでも、ビジネスでも、リーダーのコミュ力はそのチームや企業の成果に直結します。
リーダーに必要な力は「采配力」「決断力」「実行力」などと言われますが、最も必要なのは選手や社員を鼓舞し、やる気にさせ、一体感あるチームを作り出す「コミュニケーション力」にほかなりません。
しかし、日本には、そうした強いコミュ力を持ったリーダーはまだまだ少ないのが実情です。
「お手本にすべきリーダーは誰ですか?」
「リーダーの話し方の家庭教師」として、これまで1000人以上のエグゼクティブに寄り添ってきた私が最もよく聞かれる質問ですが、最近、私が激オシするのが、WBCで侍ジャパンを率い、優勝に導いた栗山英樹監督です。
彼の言動をつぶさに観察すると浮かび上がってくるのが、まさに、令和時代のあるべきリーダー像です。
拙著『世界最高の伝え方』に詳述したコミュ術を完全網羅したような極上のリーダーシップ。
その「勝てるチームを作る伝え方」の秘密に迫ってみましょう。
まず、その言動からうかがえるのは、彼が徹底的に「コミュニケーションファースト」を貫いていること。
通例なら、球団を通して、伝えるべきメンバー選抜の知らせも、彼が直接、選手に連絡するというこだわりぶりでした。
と話していましたが、チーム全員に手紙を書いたそうで、「魂を持って伝える」(同)ことに命を懸けている様が伝わってきます。
栗山氏が目指したのは、上意下達のヒエラルキーに基づく昭和の組織ではなく、あくまでも全員がリーダーのフラット(水平)型のチームでした。
そのために、キャプテンを置かず、「年齢が上であるとか下であるとか関係なく、一人ひとりがチーム全体を引っ張ってほしい」と呼びかけたのです。