A「大変です! お客さんから、半額にしないと契約キャンセルすると言われました」
B「お客さんからの値引き要求が来ています。今回限り100万円を半額の50万円に承認お願いします。中古品でいいので、値引き後でも30万円の利益を確保できます」
悪い報告は、「早く・正直に・数字で」行いましょう。あなたにとっても、上司にとっても、問題解決につながるからです。
年度末まであと2週間。
売上目標達成に向け、お得意さまとの契約目前で、ライバル会社が特別値引き。こちらも値引きしないと、売上目標も厳しそうです。
こんなとき、上司への報告は、気が重いものです。
「今さら何言っているんだ!」と言われたら、どうしよう。ついつい、明日にしようとか、もう一度お客さんと相談してからと思いがちです。
でも、悪い知らせは思い切って「早く・正直に・数字で」話すとうまくいきます。悪い知らせは、遅くなるほど傷口が広がります。時間が経つほど、できることも少なくなります。当然、ウソや隠しごとはプラスになりません。
とにかく、悪い知らせは「早く・正直に」これが基本です。
そして、もう1つのポイントが「数字で話す」ことです。悪い報告を数字で話すことで、「上司を味方につける」ためです。
上司を味方につけるには、上司の立場で考える必要があります。
値引き要求、納期遅れ、プロジェクトで予想外のトラブル……。上司は立場が上になるほど、いろいろな問題が降りかかり、判断を求められます。
また、上司は社内・社外、立場の違う相手に説明・交渉しなければなりません。しかも相手や部署によって、優先順位や判断が違うのです。
たとえば、工場からの配送が、安い配送業者を使ったために1日遅れたとします。生産部門は生産に関係ないから「問題ない」、経理は費用が減らせたから「問題ない」、でも、営業はお客さまのクレームで「大問題」だったりするのです。
そこで必要になるのが「共通言語」つまり、数字で話すことです。立場によって優先順位や判断が違う問題も、「いくら」を話す、つまり”お金”という同じものさしで判断することができるのです。
今回の値引きのケースでも同様です。
「いくら」を数字で話すと、上司はあなたと同じものさしで判断できるのです。
Aの話し方では、お客さまの値引きが会社の売上・利益にいくら影響があるかわかりません。要求を受けたほうがいいのか、それとも注文がないほうがいいのか、判断もできません。
Bの話し方は、値引きにより、売上で50万円のマイナスが出ます。でも、同時に中古品を売ることで利益を確保できます。利益の数字がわかれば、上司はOKするかどうかを判断できるのです。
このように、悪い報告をするときは影響が「いくら」なのか、数字で話します。すると、上司は味方になってくれます。さらに、数字で対策を提案すると、上司の信頼も得て、評価にもつながるのです。
さて、次は同じく上司との会話です。
上司から急に資料を作るよう頼まれたら、あなたはどちらで答えますか?
A「いきなり、急ぎで資料作成してと言われても困ります。こっちも忙しいし、どう作ればいいかわかりません。ところで、こっちの相談はいつ聞いてくれるんですか?」