この方法が有効なのは、感情が介入しないから。うれしいとも苦しいとも考えず、頭の中でただタスクを羅列する。そして、指差し確認をするような要領でそれらを確認する。あえて余計な感情を排除するからこそ、その日に起こるさまざまなことをフラットに受け止めることができるのです。
もちろん、感情を排除して受け入れることは簡単ではありませんから、最初のうちはうまくいかないと感じることもあるでしょう。でも、それはいつか乗り越えられるハードルです。なぜなら人間は、慣れることのできる動物だから。慣れないうちはうまくいかなかったことも、続けていれば習得できるものなのです。
目が覚めたばかりで頭がボーっとしているころ、起きる前に、その日やるべきことを機械的に思い出し、順序立てて「ゆるいスケジュール」を組む。
やるべきことはそれだけです。続けていれば、きっと身につきます。そして一度身につけることができれば、朝起きることが精神的に楽になっていきます。生きていくということは、1日1日を繰り返すことです。だからこそ、ぜひ試してみてください。
みなさん、朝に目が覚めたら、以後はどんなことをするでしょうか? 人によって多少の違いがあるとはいえ、基本的には誰にも共通する「毎日のルーティン」があるのではないかと思います。洗顔、歯磨き、着替え、朝食などなど。
では、そういったことをする際、「なぜ私は顔を洗うんだろう?」とか、「どうして着替える必要があるのだろう?」などといったことを考えるでしょうか? 考えるはずがありませんよね。なぜならそれらは、「考えるまでもなく、やって当然」のことだからです。
いちいち意味や目的について考える必要などなく、ましてや好きとか嫌いとかの問題でもなく、多くの場合は、そこに「やらない」という選択肢など存在しないわけです(「いや、自分は歯を磨かないことにしているんだぞ」などという方だっていらっしゃるかもしれませんが、そういうタイプは特殊な部類に入ると思うので、ここでは例外ということで)。
いってみれば「ルーティンワーク」とは、そういうものなのではないでしょうか? もし「やりたくない!」と強く感じるのであれば、やらなければいいだけの話。しかし、そもそも「やりたくない!」などと感情的になる必要などないほど、当たり前すぎるということです。しかも、意識する機会はあまりないかもしれませんが、「毎日決まったことをする」のは心地よいことでもあります。
たとえば、顔を洗えばスッキリして「きょうも1日がんばろう」と前向きになれますし、なによりそれが毎日の習慣になっていることが重要。きのうと同じことをきょうもすれば、そこには両日をまたぐリズムが生まれるからです。
さらに、翌日にも同じことをすれば、リズムは持続することになります。毎日のルーティンが生み出すひとつひとつのリズムが合わされば、そこには大きなグルーヴ(うねり)が生まれ、それは1日の活力になります。そして「きょうもまた、同じことをした」という”無意識の充実感”は、規模は小さいかもしれないけれども、間違いなく活力になっていくのです。
でも、なぜルーティンと午前中は相性がいいのでしょうか?
まず注目すべきは、起きたばかりの時間帯の脳の状態です。端的にいえば、朝にルーティンをおこなうことで脳を目覚めさせれば、そこから続く1日の仕事に大きな好影響が生まれるのです。
そして、そのことに関連して無視できないのは、毎日のルーティンをおこなうことによって得られる「規則正しい生活を送っている」という充実感です。これは、決してバカにできることではありません。