フジテレビの大型特番「FNS27時間テレビ」が今夏、復活することになった。
2019年以来の4年ぶりの復活であり、2016年以来となる「生放送」中心での番組となることも発表されている。
ベースとなる番組は「千鳥の鬼レンチャン」で、お笑いコンビ「千鳥」「かまいたち」「ダイアン」の3組がMCを務めるという。
かつてはタモリ・ビートたけし・明石家さんまの「ビッグ3」や中居正広などそうそうたる顔ぶれが番組の「顔」を務めてきたが、今回は大胆に若返りを図ったことになる。
今回フジテレビが「27時間テレビ」を復活させる理由はどこにあるのだろうか。
正直言えば、地上波テレビ自体が視聴率的に苦しい状況になっている現在、今年の「27時間」が“高い世帯視聴率”を獲得することは難しいだろう。
「千鳥の鬼レンチャン」にしても知名度が高い番組とはいえない。
普段の放送でも世帯視聴率は5~6%程度である。主に若い世代の指標となる「コアターゲット視聴率」ではまずまずの人気ではあるが、この記事を読んでいる人の中でも「鬼レンチャン」を視聴したことがあるのは少数ではないだろうか。
制作チームとしては放送までの半年間で、番組の認知度・視聴率を上げることを目指すと思うが、道のりは困難である。
おそらく「27時間テレビ」の復活を決めたのは、昨年フジテレビの社長に就任した港浩一氏だろう。
「とんねるずのみなさんのおかげです」など多くのバラエティー番組を手がけ、「FNS27時間テレビ」には、ゼネラルプロデューサーや制作総指揮として10回以上も携わってきたレジェンドである。
そして、港社長率いるフジテレビとしても、「数字的には厳しい」ことは承知のうえでのゴーサインなのではないだろうか。
そして視聴率的に「厳しそう」ということであればスポンサーへの訴求も強くはならない。「27時間」を放送することによる営業収益も多くは期待できないだろう。ひょっとすると「わが社が一緒に盛り上げる!」というスポンサーが現れるかもしれないが。
それならばなぜフジテレビは「27時間テレビ」を復活させたのだろか。
キーワードは「求心力」ではないかと私は思う。
フジテレビというテレビ局が、かつての勢いを取り戻すために、社員全体が「一丸となる」シンボルとしての「27時間テレビ」である。
そもそも「27時間テレビ」は、日本テレビの「24時間テレビ 愛は地球を救う」へのパロディー的な番組としてスタートした。
「24時間テレビ」が掲げるチャリティーなどの“大義名分”などは掲げず、ひたすらに面白さを追求し続ける姿勢は、当時日本テレビにいた私の目にも、「潔く、カッコいい」ものに映った。
まさしくフジテレビの派手な「夏祭り」であり、「なぜ? 27時間もバラエティー?」などという視聴者の初歩的なギモンを吹き飛ばす勢いがあったのだ。
もちろん「27時間テレビ」が放送される週は、朝から晩まで「27時間」の宣伝である。当時のフジテレビ社員は、正直「めんどうくさい」などと思いつつ高揚感は感じていたはずである。
日本テレビには、夏に「24時間テレビ」、年始には「箱根駅伝」という2つの大型生放送番組がある。
日テレの人間は、この2つは「かならず、ある」ものとしてその時期になれば番組制作スタッフだけでなく、編成、営業、技術、広報、総務など多くの社員が関わっている。