「外見より性格が多数派」アバター同士の驚く恋愛

(写真:PanKR/PIXTA)
日本の少子化問題が深刻化する中、コロナ禍を経て出会いの現場はどのように変化しているのでしょうか。テクノロジーの進化などによって多様化する現代の出会いについて分析した三輪賢治氏の著書『100歳まで出会える人生』より、一部抜粋してお届けします。
 

これからの時代「メタ恋」は外せないキーワードになる

つい最近、ある出会い系イベント会社が主催しているメタバースのイベントに参加しました。男女16名のアバターがメタバース空間に作られたアイランドに集い、挨拶から始まり、洞窟で探検しながら交流したり、カフェに行ってお茶しながら会話を楽しんだりというのが主な内容です。

このイベントは無料だったため、おそらく興味半分で参加している人や、私のようなビジネスとして偵察するような人が参加者のほとんどであったのではないかと考えられます。本気で出会いを求めている人ばかりではないという理由もあって、イベント自体は期待したよりも面白くなかったというのが正直な感想でした。特に、途中で飽きが来てしまうこと、あとはメタバース空間での動きで酔ってしまうことがネックだと感じました。

また、司会者の進行によって、そのイベントが楽しめるかどうかが決まることもあり、メタバース上でのイベントが今後盛り上がって定着していくには、やや時間がかかるのではないかと感じました。

とはいえ、アバターとして参加するため、新しい洋服を買い揃えておしゃれをする必要がない、自宅からログインできるためわざわざ出かけなくて済むという気軽さに加え、ゲーム感覚の面白さもありました。

一緒にゲームをしながら気軽に出会えるという点においては、今後、事業者が内容を工夫していくに従って、ユーザービリティは上がっていくだろうと感じています。

自分が参加してみて感じたことでは、リアルで対面しているときよりも、話しすいというメリットがあったことです。異性と話すのが苦手という方にとっては、出会いの場として選んでいきたいツールになっていくことは間違いありません。

加えて、どの事業者もメタバースに対し可能性を見出していることからもわかるように、出会いの場にメタバースが加わっていくことは間違いないでしょう。WEB3の技術が介入することで、個人情報は最後まで守りながらも、安全に、そして自分が求める出会いを得られるようになっていくのだと感じています。

さて、10代後半~20代のデジタルネイティブ世代と話していると、出会いに関する考え方やツールの使い方が、それ以前に生まれた人たちとは大きく異なることに気づきます。特に現在40~50代の私と同世代の人たちでは、「リアルで会わないとだめ」という意識が強くあります。SNSで知り合ってやりとりしていても、その時点で恋愛関係に発展したり、結婚を意識するということはかなり稀なのではないでしょうか。

しかし、デジタルネイティブ世代では、SNSで気になる異性をフォローして、フォローバックがあったら「存在が認められた」という感覚。メッセージのやりとりが始まれば、「お友達から恋人への昇格もあるかも?」と変化していき、LINEでつながることができたら、「交際」まであと一歩という感覚。つまり、すでにマッチングアプリはいらない世代なのです。

私たちの世代であれば、街やクラブ、イベント会場、海辺などでかわいい子を見かけたらナンパをして、携帯電話番号(少し上の世代だとポケベルだったかもしれません)を交換して異性と仲良くなりました。それが、デジタルネイティブ世代では、「SNSでのフォロー&フォローバックとメッセージのやりとり」なのです。