同じように、WEB検索の感覚も異なります。私たちの世代では、グーグルを使って「合コン 居酒屋」「デート 着る服」「モテる 服」などさまざまなキーワードから検索し、WEBサイトの中から情報をピックアップしています。
しかし、デジタルネイティブ世代はまずはSNSです。写真やショート動画の中から、使えそうなお店や服などを選び、そこからショップサイトに飛ぶという感覚。つまり、SNSの情報はWEBよりも身近で信頼できると考えているわけです。
異性の外見に対しても私たちの世代とは異なる感覚を持っています。例えば、アプリで可愛く加工された女性たちが、インスタグラムやTikTokには溢れています。これを見たとき、どのように感じるでしょうか?
私の場合は、つい、「映える写真や動画で惹きつけているけれど実際はどうなの?」と穿った見方をしてしまいがちです。ですが、デジタルネイティブ世代は、盛っているのが当たり前。
昭和~平成ではメイクやおしゃれをしてイベントに出かけて出会いを楽しんでいましたが、SNSが主戦場となった令和では自撮りアプリで可愛く見せたり、格好良く見せたりするのが当たり前という感覚なのです。
SNSでは映えさせておいて、そこでの出会いや関係を楽しみ、リアルで会ったならば、そこからがリアルでの勝負。また出会い直したという感覚で、少し新しい関係を築いていくというのも普通なのです。
つまり、メタ恋が定着すると、一生懸命アバターを作成し、そのアバターでの出会い、そしてアバター同士の恋愛を楽しむことも、当たり前のようになっていくのでしょう。
ただし、そのアバターは決して「虚像」ではありません。例えば、コンプレックスを隠し、理想的な外見、理想的な性格のアバターを作成し、そういった理想としている像同士でくっつくような関係も出てくるでしょう。逆に、リアルの世界の自分の特徴を誇張したアバターを作る人も出てくるかもしれませんし、思い切って自身をキャラ化してしまう人も出てくるでしょう。
いずれもリアルの世界では存在しない人間ですが、メタバース上に作り上げたということは、1つのクリエイティブ作品であり、紛れもなくその人の一部であると言えるはずです。
また、そこで交わされる言葉はその人が発したものであり、メタバース空間で購入したものや建てた家などは、その空間には確かに存在しています。
つまり、メタバース上ではより内面に焦点が当てられた関係性が培われ、メタバース上で積み上げた資産が評価されるということになります。その結果、仮装とリアルのパラレルライフが生まれていくというわけです。
このような世界が現れると、現実社会では生きづらさを感じていた人や、男女関係でうまくいかなかった人も、チャンスが巡ってくるかもしれません。実際、VR環境での恋愛と恋人関係についてまとめた「ソーシャルVR国勢調査2021 Part2『お砂糖レポート』」では次のような結果が出ています。(図I参照)。ちなみに“お砂糖”とは、VR内での恋人関係をさすネットスラングです。
調査結果では、外見よりも性格を重視する人が64%おり、内面を重視するために本来の性別は重視しないという人が75%もいます。また、仮想空間上でのパートナーはあくまでもそこでのパートナーであり、リアルの世界では異なると答える人が68%です。
つまり、内面でつながり合えるパートナーについては、外見だけでなく性別すら問わないという恋愛や結婚のスタンスがVR空間では多数派であるということです。リアルの世界では「異性愛者」が多数派で、「外見」などの条件をベースにパートナー選びをしますが、それはVR空間では少数派になるというわけです。今まで以上にオンラインで過ごす時間が増えていくに従って、恋愛や結婚といった概念自体が大きく変わっていくのではないかと考えられます。