「ジャイアン上司」に振り回されない究極の手段

上司が一方的にしゃべるだけの会議、高圧的な空気で発言しづらい会議ほど不毛なものはありません(写真:koumaru/PIXTA)
自己中心的な上司の暴走のせいで時間をムダにした――。誰にとっても「あるある」な状況ですが、特に注意が必要なのが会議の場。上司が一方的にしゃべるだけの会議や、高圧的な上司が会議の司会を務め、発言しづらい雰囲気のなか「ただイスに座っている」だけの時間を耐えている方も多いのでは? しかし、会議は仕事時間の4割以上を占めると言われ、放置すれば生産性に大きな影響を与えかねません。仕事の現場におけるムダな会議をなくす方法を、業務のムダ取りコンサルタントの越川慎司氏の著著『仕事ができる人のパワポはなぜ2色なのか?』より、一部抜粋、再編集してお届けします。

会議の7割を1人でしゃべり続ける上司

『ドラえもん』に出てくるジャイアンは、聞いている人たちが耳をふさぐほどの音痴です。しかし、本人はまったくそれに気がついておらず、「みんなを喜ばせたい」という思いから、しょっちゅうリサイタルを開いては、熱唱をします。

会議で、長々と熱弁をふるってしまう上司は、まさに、このジャイアン状態。本人には悪気はいっさいなく、社員や会社のために、よかれと思って熱く語っています。

「ジャイアン上司」とでも言うべき状態です。

それだけに誰も止めることができず、放っておくと、「会議時間の7割は役職者がしゃべっていた」などということにもなりかねません。

そもそも、会議で、決定権を持つエライ人が会議の進行役をすると、自分の思うように議事を進めてしまうのでよくないのです。さらに、エライ人が進行役をやるもう1つの弊害が、この「司会役のエライ人が独演会を始めてしまいやすい」ということなのです。

よかれと思ってしゃべっているエライ方は、自分の言葉が皆に伝わっているか不安に思いながら話しています。「わかってほしい」という思いが強いのに、周りの反応がイマイチなので、余計に熱が入り、話も長くなるのです。

「上司の独演会」にストップをかける必殺技

会議でエライ人の熱弁にストップをかける必殺技を伝授しましょう。
その必殺技の名は、「承認サンドイッチ」!

この「承認サンドイッチ」では、まず、その思いに応えて、承認してあげることから入ります。具体的には次のような感じです。

「〇〇部長、ご発言をありがとうございます! たしかにおっしゃるとおりです。本質をついたお話で、たいへん共感いたしました」

こう言って、まず、「あなたの話は十分伝わりました」ということを伝えます。たとえ、話の内容に共感できなくても、否定はせず、「内容は理解しました」という事実を伝えればいいのです。そのうえで、こう続けます。

「しかし、会議時間の残り15分で2つのことを決めなければなりませんので、次のアジェンダに移らせていただきたいと思います」

そして、こう締めくくるのです。

「○○部長、ご協力ありがとうございました」

つまり、「承認+リクエスト+承認」という順番ですね。「議事を次に進めたい」というリクエストを、「承認」でサンドして伝えるのです。

できれば、ファシリテーターなどの、会議の進行役にこうした役割をやってもらうのがベスト。事前にファシリテーターに話を通しておくか、もしもそれが難しい場合は、同僚と協力して、あなたが発言したあとに同意してもらうようにして、場の雰囲気をうまくリードするとよいでしょう。こうすれば、話を途中でさえぎられた上司も、「伝わったのならいいか」と、おとなしく引きさがってくれます。

「そんなにうまくいくの?」と思われましたか?

大丈夫、1万2000人にこの手法を用いてもらったところ、再現率89%で上司の独演会を抑えられたという結果が出ていますから、効果は証明済みです。