めんどくさいことの代表格である、夕食の片づけ。
この場面に注目して、夕食後の行動を区切ってみてみましょう。
夕食を食べ終える/ソファに座る/テレビを観る/夕食の片づけをする……
わかりやすい区切りができましたね。この中の、「テレビを観る」から「夕食の片づけをする」の間にある壁を乗り越えることが難しく、ここで「めんどくさい」が発生します。
行動の流れが途切れてしまう壁が見つかったら、区切りの後の行動を分解してみます。
食器を流しに運ぶ/食器を洗う/食器を拭く/食器棚にしまう……
夕食の片づけを「めんどくさい」と感じるということは、その最初の区切りである「食器を流しに運ぶ」がめんどくさいということになります。では、それを「夕食を食べ終える」の後ろにくっつけるのはどうでしょう。
夕食を食べ終える/食器を流しに運ぶ/ソファに座る/テレビを観る/食器を洗う……
これでも「テレビを観る」と「食器を洗う」の間に「めんどくさい」が発生しそうですね。では今度は、1つの工程の作業量を減らして連結させてみます。
「お皿を1枚だけ」流しに運ぶ/食器を洗う/食器を拭く/食器棚にしまう……
これを、「夕食を食べ終える」の後にくっつけてみます。
夕食を食べ終える/お皿を1枚だけ流しに運ぶ/1枚だけ洗う/1枚だけ拭く/1枚だけ食器棚にしまう/ソファに座る/テレビを観る/残りの食器を片づける
こうして並べてみると、「1枚だけやるんだったら、全部やっちゃったほうが、後がラクじゃない?」と思うかもしれませんね。先ほどまでとは、だいぶ印象が変わりました。
これを実験すると、1枚だけならすんなりできますし、テレビを観た後の片づけもそれほど「めんどくさい」と思わない、という体験ができます。
ぜひ、体験してみてください。
この仕組みは、脳の中で、動作を連結させて保存する帯状回、補足運動野が担っています。「めんどくさい」が発生する壁が見つかったら、順番を変えるか、めんどくさい作業を分解して量を最小にして、関連する作業の最後にくっつけると、そのまま保存されます。
一連の動作が保存されているので、後はそれを出力するだけ。これは脳に通じる命令なので、すんなり動けるわけです。
先ほどのシングルタスクにする、という話と矛盾するのでは?と思う人もいるかもしれません。
ここでおすすめしていることは、同時に行うのではなく、後ろにくっつけると理解してください。作業は1つずつ行う設定にしておき、その作業を終えたら、次の作業の冒頭にちょっと手をつけてから区切る、ということです。
ポイントは、手をつけるのは冒頭だけ、ということです。目的は、めんどくささを生み出す隙間を埋めるように連結することなので、「一気に終わらせるぞ!」ということではありません。
これは、あらゆる場面で使えます。会議が終わったらそのまま一行だけ議事録をつくって保存して会議を終える。こんな感じで、取り入れてみましょう。