僕は、東大を目指して勉強をしていたとき、つながりをたくさん知ってすごく楽しかったです。
世界史は、1個1個の年号を暗記しがちですが、実はこの年にヨーロッパでこういうことがあり、それが他の地域にこういう影響を与えて……というつながりが見えると、「そうだったのか!」と感動しますし、忘れにくくなります。
嶋田:分野横断的なつながりも見えてくると、もっとおもしろくなります。たとえば歴史と化学。
青銅器の時代から鉄の時代への変遷を見ると、人間にとって鉄がいかに重要かがわかります。鉄は加工しやすく丈夫です。これは化学的性質ですが、それをいち早く取り入れ、製鉄技術が発達した文明が勝っているわけです。
ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』など、ストレートに、科学の世界と歴史はつながっているとわかる本もありますね。ヨーロッパ人がアステカに渡ったことで、免疫のない人々に病気を感染させて文明が滅んだ。いかに免疫が重要かなど雑学レベルで知っておくだけでも、勉強は面白いものです。
西岡:そういう、いくつもの分野を横断して関連づけてくれる本は、本当におもしろいですよね。
西岡:僕は前に上梓した『東大思考』という本で、英単語を覚えるときには「語幹」から攻めるべき、ということを書きました。例えば「com」は、「一緒」という意味合いですが、「カンパニー」「合コン」「コミュニケーション」などにも使われているなと関連付けていくと、勉強するハードルが下がると思うのです。
5:適切なロールモデルを置く
嶋田:適切なロールモデルを置くというのも大事なことかもしれません。
スポーツはそうですよね。例えば、このサッカー選手のようになりたいなど目標があります。それがロナウドではちょっと難しいですが、先輩や上司、あるいは自分の知りたいことに詳しい人など、ビジネスパーソンのモデルになる人は身近にいると思うのです。分野ごとに何人いてもいいでしょう。
その人の行動自体から学べますし、「どんな本を読んでいるんですか、お勧めはありますか」などと質問することもできます。伸びる人は、そういうことも積極的にやっていますね。
質問された人は一瞬面倒に思うかもしれませんが、「言われてみれば、こういうことをしたかな」などと、案外教えてくれるものです。言語化を手伝うことになり、かえって感謝されることもあります。
ですから、必要以上に遠慮したりせず、周りの人をうまく使うといいですね。
西岡:僕も2浪したときは、東大に合格した友人たちに勉強のやり方を聞きまくって、マネしまくりました。あれもある意味、ロールモデルだったんですね。
(後編に続く。構成:泉美木蘭)