その原点にあるのは、質問です。なぜこのお客さんは攻略できないのか、この商品が売れないのはなぜか、といった「なぜ」ですね。
西岡:特に、失敗したときは「なぜ」が重要でしょうね。
嶋田:もちろんそうですが、成功したときも「なぜ」は必要です。なぜこれはうまくいったのか。意外と人間は、成功すると浮かれて分析しないのです。
嶋田:なぜ成功したのか。なぜお客さんが喜んだのか。それがわかれば、横展開していくことができます。
『東大独学』でも書かれていましたが、そういう教訓を「言語化」することも大事ですね。多くの人はおざなりにしていますが、ちょっと突き詰めて考えて、メモしておくだけでも、組織全体の生産性は変わってきます。
3:「知らない」ことに対する危機意識
西岡:僕が怖いと感じるのは、なにかを知らない状態でも、知らない世界の中で満足している場合が多いということです。
ちょっと知れば、「こんな知らない世界があったのか」となりますが、「知らなくても困っていないから、知らないままでいい」という人もいます。それは学びに対するモチベーションの差であり、ここにも「伸びる人と伸びない人の差」があるように思います。
嶋田:東大生の大きな特徴は、知識欲が旺盛なところですね。新しいことを知りたがりますし、知らないことをそのままにしません。
私が東大生時代、仲間とカフカの『変身』について話したことがありました。そのとき、1人だけ読んでいなかった人がいて、「『変身』も読んでないの?」という冷たい視線を浴びていたのですが、後日読んできたと言っていました。
知識に対する、よい意味での同調圧力があるところは、東大のいいところかもしれません。
西岡:環境要因は、自分で変えることもできると思います。たとえば、同じ会社の中にずっといれば、勉強しなくていいと思うかもしれませんが、一歩外の世界へ出てみると、「もっと知らなきゃいけないことがあるな」と思うかもしれません。
4:「つながり」に目を向ける
嶋田:物事のつながりを理解することも大事ですね。例えば、読書は、目的なく読んでいたとしても、積み重ねるうちに「あのときに読んだ話が、ここにつながるのか」ということがわかります。すると、頭の中で立体的に構図が見えますね。
嶋田:多くの人の勉強は、点と点で終わっていることが多いのですが、それが線でつながる感覚が見えるようになると、物事はすごく頭に入りやすくなります。
西岡:点で追っているか、線で追っているかの違いは、伸びる人、伸びない人の大きな差ですね。