西岡壱誠(以下、西岡):今日はよろしくお願いします。嶋田先生には、「学び」についてうかがいたいことがたくさんあって、楽しみにしていました。
嶋田毅(以下、嶋田):『東大独学』、読ませていただきました。学生だけでなく、社会人の学びにもとても役立つと感じました。今日はよろしくお願いします。
西岡:ありがとうございます!
1:わからないところまで戻る勇気
西岡:さて、僕が考える「伸びる人、伸びない人」の最初の違いは、「多少恥ずかしくても、わかっていないところまで戻る勇気」があるかどうかということです。
実は、東大受験生でも、中学の範囲まで戻ってやり直すということがザラにあるのです。僕は偏差値35から東大を目指したので、小学校の計算問題まで戻って勉強しました。
嶋田:まったくそのとおりですね。特に積み上げ型の勉強は、基礎の簡単なところからやってみることが重要です。
最近は、中高生が学校でコンピュータサイエンスの基礎を学んでいます。大人が基礎からやらなかったことを、中高生が勉強しているわけです。大人も、そのレベルまで戻って勉強してもいいと思います。
それだけでなく、理科や社会などでも、中学校の勉強がぜんぶわかるという大人はめったにいないでしょう。自分のお子さんの勉強にそれなりに対応できるなら、自慢してもいいのではないかと思います。
2:「なぜ」と疑問を持ち続ける力
西岡:「なぜ」と疑問を持ち続けることも大事だと思います。
街を歩きながら、「なぜこんなところにこんなものがあるんだろう?」「この太陽光パネルはなんのためにあるんだろう?」など、日常生活にある疑問に対してアプローチしていくと、意外とそれが学びにつながっているものです。
嶋田:『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?~身近な疑問からはじめる会計学~』というベストセラーがありますが、あれも、考えた人はすごいなと思いましたね。
西岡:東大生は、授業が終わった後に質問をたくさんします。僕は、偏差値が低かったとき、一度も質問していませんでした。この違いは大きいのではないかと考えたことがあります。ビジネスでも質問するスキルは重要ではないでしょうか?
嶋田:そうですね。例えば、「このビジネスは、アメリカで流行っているのに、なぜ日本で流行らないのか?」といった疑問は、誰にでも持てる「なぜ」です。
社会人になると、実力勝負です。新しいアイデアを思いつく力、お金に対する嗅覚があり、それをプロダクトやサービスに結びつける力、難攻不落のお客さんに売る力などが重要になります。