やはり「サッカー型組織」が会社も強い!2大理由

「サッカー型の働き方」を仕事に応用するビジネスマン
企業の組織モデルは「野球型」から「サッカー型」への転換が求められています(写真:janik_photo/PIXTA)
いまビジネスの世界で、「リスキリング」(学び直し)が注目を集めている。
リスキリングの本質は「変化する社会で、今後必要なスキルや技術を学ぶ」ことで、そこでは「独学力」が決定的に重要になる──。
30年以上にわたり、人事や人材マネジメントの研究を続けてきた高橋俊介氏が、このたび「社会人の学び方」を1冊で完全解説した新刊『キャリアをつくる独学力:プロフェッショナル人材として生き抜くための50のヒント』を上梓した。同書は、発売後たちまち大増刷するなど、話題を呼んでいる。
世界有数の人事コンサルティング会社の日本法人代表を務め、日本に「キャリアショック」という概念を広めた「キャリア論の第一人者」でもある高橋氏が、「やはり『サッカー型の組織』が会社も強い!2大納得理由」について解説する。

あなたの会社は「サッカー型」?「野球型」?

FIFAワールドカップ・カタール大会がいよいよ開幕しました。

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ご存じのように、サッカーは11人が「それぞれの役割」を担いながら、一丸となってゴールを目指すスポーツです。いざ試合が始まれば、個人の臨機応変な判断によるプレーで展開していきます。

対して、野球は試合中に監督がサインを送り、選手は「指示どおりのプレー」をするなど、サッカーに比べて「監督の指示」がゲーム展開に大きく影響するスポーツだといえるでしょう。

この野球とよく似ているのが、会社員を襲う「あまりに大きな2つの変化」の本質」でも紹介した、日本企業が長らく続けてきた人材育成、つまり社内での「タテ型OJT」です。

「上司・部下」「先輩・後輩」といった、上下の序列の差がきわめて重要な機能を持ち、「組織内タテ流動」で、つねに「上から下へ」という流れが生まれます。「『タテ型OJT』への過度な依存が、企業をいまや存続の危機に追いやっている」といってもいいでしょう。

今回は「サッカー型」「野球型」という「2つの異なる組織モデル」を軸に、「『サッカー型の組織』が仕事でも強く、優れた人材を育てる2大納得理由」として、今後の日本の「人材育成のあり方」「企業組織のあり方」を解説します。

まずは、日本の人材育成の転換点を象徴するエピソードを紹介しましょう。サッカー日本代表にまつわる話です。

ワールドカップでは「野球型」で日本が惨敗

2014年、FIFAワールドカップ・ブラジル大会でのグループリーグ初戦、対コートジボワール戦のことでした。

前半、本田圭佑のシュートが決まり、日本は1対0でリードします。ところが、後半に予想外のことが2つ起きます

1つは、ディディエ・ドログバという選手の存在です。コートジボワールにはドログバという、イングランドのプレミアリーグで二度、得点王に輝いたこともある有名なストライカーがいました。

そのころのドログバは調子が悪かったため、日本代表は「ドログバは試合に出てこないだろう」と予測して戦術を組んでいたところ、後半17分、ドログバが選手交代でピッチに登場したのです。

もう1つは、突然、予想外の激しい雨が降りはじめたことでした。

選手たちは、この状況に対応した戦術を立て直すことができず、立て続けに2点を奪われ、2対1で逆転負けしてしまいました。これが尾を引き、その後、1勝もできず予選リーグを敗退してしまいました。