話を聞くのがどうもヘタな人に伝えたいコツ4選

男女の会話
人気カウンセラーが教えるコミュニケーションの基本にして奥義の「聞く技術」とは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)
コミュニケーションの基本は「聞くこと」「聞いてもらうこと」。それが難しいから世の中には「聞く技術」の本が膨大に存在し、コミュニケーションの「本質」を説いてくれます。しかし、本質はわかってもすぐにはできなくてさらに絶望したこともあるのでは?
「聞くこと」のプロであるカウンセラーの東畑開人さんの新刊『聞く技術 聞いてもらう技術』より、すぐに使える12の「小手先編」から4つご紹介します。

余計なことを言わずに適切に質問を

世の中には膨大な「聞く技術」の本があります。それらを買いあさり、読みこんでみました。

その結果わかったのですが、それらの本が主張しているのは、「余計なことを言わずに適切な質問をしよう」に尽きます。

そのとおり。

日々カウンセリングの仕事をしている実感と、完全に一致します。

誰かの話を聞こうと思うなら、相手に合わせて、「余計」なことを言わずに「適切」な質問をしましょう。これが本質。

以上。

絶望的な結論だと思いませんか?

だって、「余計」と「適切」をどう判断すればいいのかがわからなくって、みんな困っているのですから。

日本刀職人に「どのくらいの力で鉄を叩けばいいですか?」と尋ねて「ちょうどいい感じでやるんだよ」と言われてしまうようなものです。

本質は残酷です。結局、「程度の問題」になってしまって、困っているときに助けになりません。

ですから、小手先の話をしましょう。

心理士仲間と話していて、「ああ、そういうのあるよね、俺もやってる」と意気投合できるような小手先の技術がいくつかあるので、それらを紹介してみます。

小手先のいいところは元気が出るところです。程度の問題と言われると「どうせ私には無理なんだ……」とやる気がなくなりますが、明日から使える小手先は「ちょっとやってみるか」と思えます。

所詮小手先ではあるのですが、されど小手先でもあります。誰かの話を聞くために、以下の小手先を使ってみる手はあるでしょう。

先に、ご紹介する12の小手先をお見せします。

1時間と場所を決めてもらおう
2眉毛にしゃべらせよう
3正直でいよう
4沈黙に強くなろう
5返事は遅く
6色の相槌
7奥義オウム返し
8気持ちと事実をセットに
9「わからない」を使う
10傷つけない言葉を考えよう
11なにも思い浮かばないときは質問しよう
12また会おう

さてさて、カウンセラーたちが普段使っているささやかな小手先たち、一体全体どんなものか?

【1 時間と場所を決めてもらおう】

と言いつつ、最初から本質的な話になってしまう気もするのですが、話を聞くために最も重要なのは設定です。

設定というのは、たとえば時間や場所のことです。

話をするための時間がどれくらいあるかによって、話す内容は変わってきます。基本的には、しょっちゅう会っていて、時間が長いほど、深い話をできます。

それから場所。みんながいる広間でしゃべるか、2人きりの密室でしゃべるか。基本的には密室のほうが深い話ができるけど、広間のほうが安全に話ができます。あとから、しゃべらなきゃよかったと思う話をしないで済むのが、広間のいいところです。

決定権を相手に委ねよう

ですから、誰かの話をきちんと聞かなきゃいけなくなったら、どういう場所で、どれだけの時間、話をするのか、相手に選んでもらうといい。決定権を委ねましょう。

「どこで話そうか?」「どれくらいの時間あるといいかな?」と尋ねてみるのが小手先その1。相手がちょうどよい(程度問題!)設定を提案してくれるはずです。