仕事で「勘」を大事にする人が意外と本質を突く訳

考え事をしているメガネの女性
ネット全盛の今、真に成果を上げる情報収集術とは?(写真:topic_kong/PIXTA)
停滞を続ける日本経済に追い打ちをかけた、コロナ禍。その影響で、仕事で求められる能力は大きく変わりました。
「これからの将来不安を乗り越えるために必須となるのは己の力」と語るのは経営コンサルタントの山本大平氏。新著『独立思考――組織や前例に縛られず、自分で考えて答えを出す』から一部を抜粋・再構成のうえ、「自分の頭でアイデアを考えて行動に移す思考法」を全5回連載でご紹介します。第2回は “正しい情報のつかみ方”に着目。

“万”聞は一見に如かず

「百聞は一見に如かず」ということわざを、皆さんもご存じだと思います。

多くの方が知っている通り、「人から何度も聞くより、一度自分の目で見る方が確か」という意味です。

昔からよく言われてきたこのことわざですが、今もこの原則は変わっていません。

むしろ、今のほうが、「実際に自分の目で見た」情報を得る重要性は高まっています。

あえて言えば、「万聞は一見に如かず」なのです。

ただ、たしかに近年では、ネット上でも多くの情報は拾えるようになりました。現代人が1日に接する情報量は江戸時代の1年分、平安時代の一生分に相当すると言われています。

一方で、ネットの情報の中には、「嘘」が多々混じっている場合もあります。

情報を受け取る側に、その「嘘」をきちんと見分けられるような力が求められるようになってきているのです。

つまり、情報量が増えたが故に、情報の「見極め力(リテラシー)」がより求められる時代になっていると言い換えてもいいでしょう。

では、適切な情報とは、いったいどのようなものでしょうか。

先ほどのことわざを思い出しましょう。

結局、最終的に「自分の目で確認したり、身をもって体験したりすることで納得した情報」は、どんな時代にも雄弁です。

ネット上で何回も見聞きした話だとしても、一度実際に確認してみることが情報の「見極め力」を高めてくれます。

さらに、そうした情報を得るための心得として使えるのが、「三現の教え」です。

?成果に拘る人?はこの教えを「基本動作」としています。

三現(現地、現物、現実)の教え
(出所)『独立思考――組織や前例に縛られず、自分で考えて答えを出す』(朝日新聞出版)

三現とは、「現地」「現物」「現実」の三つ。

「現地」にも必ず足を運んで、「現物」をなるべく近くで観察・確認し、そのうえで「現実」的な判断を下す、といった意味です。

「実際にやってみたか」がすべて

「三現の教え」は、情報量が増えた今の時代だからこそ再認識すべき教えです。

いくら机の上で時間をかけて情報を分析したとしても「現地現物で経験したリアルな情報」には敵いません。

ここで、よく勘違いをしてしまう人がいます。

その間違いの代表例が「現地現物の情報とは、知見者の話を直接聞くことだ」というものです。

これは、情報を探す際の”入口”として利用すべき方法です。そして知見者が持っている情報が確かだとも限りません。「誰々が言ったから」と権威ある者の言い分を盾にして正当化している物言いをよく見かけますが、果たしてそれで満足していて良いのでしょうか。

結局、聞いた話は、知見者個人の考えにすぎないので、知見者の意見は魚群探知機(入口)くらいに留め、そのうえで自分なりの考察を持つのが良いでしょう。

また、話を聞いてみたうえで、自身が「実際にやってみて、どう感じたか」という情報こそが、リアルな情報です。独立思考(自分の頭で考える思考)を得るうえで人の言うことを鵜呑みにしては絶対にいけません。

例えば、ある人が飲料会社の社員だったとして、突然、人事部から商品企画部の企画職に異動になったとします。そして上役から異動後まもなく「夏に新しいフルーツ系炭酸ジュースを新規開発してほしい」と指示されたら、どうするでしょうか?