「ポケモン」が救う?危機のロンドンロープウェー

契約料引き下げでもスポンサーは決まらず

TfLでロンドン・ケーブルカー運営責任者を担うクロンプトン氏は6月にエミレーツ航空との契約終了を公表した際、「新しい”将来のパートナー”は夏以降に発表される予定」と述べた。しかし、現地の情報筋によると、「新たなスポンサー候補に対して契約金を(TfLが本来受け取りたい額の)4分の1相当まで引き下げたが、まだどこも契約締結はできていない」のが現状だという。

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バス路線廃止の検討を迫られるなど厳しい財政難に陥っているTfLにあって、観光需要に大きく依存するこのような乗り物を維持するのは並大抵のことではない。ロープウェーの不調を見越してだったかどうかはさておき、ロンドン全体の行政を司るグレーター・ロンドン・オーソリティー(GLA)は市役所庁舎を2021年末にロープウェー・ローヤルドックス駅の真横に移転させた。

こうした動きははたして運営の維持に奏功するのだろうか。

イギリス政府とTfLは今年8月末、2024年3月31日までの政府支援金注入について合意に達した。これには、20億ポンド(約3231億円)弱の運転資金投入と収益支援メカニズムが含まれるが、まだ本来必要とされる支出額との間にはギャップがある。今後は年金支給額の削減やリストラなど、さらなるコスト圧縮が求められる中、ロープウェーの行方は厳しそうにみえる。コロナ禍後の観光客の戻りがまだ本格的でない中、しばらくは動静を見守るしかなさそうだ。