そういうバイアスを込みで考えると、「少し気にしすぎかな?」というぐらいに「昔の話は金輪際しない」と腹を決めて、口にチャックしてしまうのがいいでしょう。
部下・後輩・年下と話すときには、相手の話を引き出す役に徹するのが正解です。
「このあたり、来たことある?」
「今のシステムはそうなってるんだね。使い勝手はどう?」
「熱心に聞いてるアーティストとかいる?」
ほかにも、相手が現在取り組んでいる仕事、将来的にやってみたい趣味などを聞き出し、「それはどういうもの?」「えー、知らない。教えてくれる?」と、むしろ下に潜り込んで「教わる」立場になれれば、なおいいでしょう。そうすれば「話しやすい人」「好奇心旺盛な人」という印象を得ることができます。
本当は「互いに教えて・教わって」の関係になれればいいのですが、ともすると「上」はとうとうと「下」に教えようとしがち。ですから、意識的に「上」が「下」に教わるぐらいが、ちょうどいいバランスなのです。
「いや、若いねー。おじさんだから、そういうセンスないわー」
「おばさんのことは気にしないで、みんなで楽しんできて」
「最近、次の日まで酒が残るんだよね。もう年かな~」
部下・後輩・年下と話していて、自分の年齢・加齢のことを自虐っぽく話す人がいます。ですが、それは不正解です。
自分がおじさん・おばさんであることは重々自覚しています、だから、あまりそのことで批判・攻撃しないでくださいねと、予防線を張りたくなる……。
あるいは「怖い人」「偉そうな人」と思われないために、フレンドリーさを演出しようという狙いもあるでしょう。
ですがこういった発言は部下・後輩・年下からするとめんどう。「えー、そんなことないですよ」「まだまだ若いじゃないですか」と、いちいちフォローしなくてはいけないので、かえって気をつかわせてしまうことになります。
そもそも、その場で年齢や加齢のことを気にしているのは、本人だけで、周囲はそこまで意識していない場合がほとんど。結果的に「自意識過剰?」「そういうところがおじさん……」と白けてしまいます。
逆に「お酌をされる権利がある」「上座に座って当然だ」と、年長者であることを鼻にかけるような言動も、もちろんスマートではありません。
部下・後輩・年下と話すときに、年齢の話は極力持ち出さないのが正解です。
「今、そういうのがおしゃれなんでしょ? 一応知ってるよ(笑)」
「私は帰るから、みんなで楽しんできて」
「最近、次の日まで酒が残っちゃうから、たくさん飲めなくて残念」
このように、年齢のエクスキューズなしでもたいていの会話は成立します。こうすれば、話が「おじさん・おばさん・加齢」ではなく、「相手のセンスのよさ・『楽しんできて』という好意・お酒が好き」にフォーカスされるので、お互いに話しやすくなります。
「この世界では年齢が上のほうが偉い。けれど、若いことには価値がある」という昔の価値観こそが、こういった自虐発言を生む温床。「上」のほうが率先して、いち早くそこから解放されるべきです。「安易な上下」ではなくフェアで対等な関係を築く意味でも、あえて年齢の話はしないのがいいでしょう。