あなたが良かれと出す「話題」に若手は引いている

オヤジギャグは最悪のパターン? 自分より目下の人とフラットな関係を築くための会話術とは(写真:EKAKI/PIXTA)
「後輩に注意しなきゃいけないけど、嫌われたくない」
「ハラスメントになりそうで、部下に何を言えばいいかわからない」
「偉そうにしたくないけど、媚びたトークをしてイタいと思われたくない」
こんなお悩みはありませんか? 同期や目上の人とは話せるけれど、「下」の人とは何を話したらいいのかわからないという方が増えているようです。『部下 後輩 年下との話し方』では、コミュニケーションの達人・五百田氏が、部下、後輩、年下など、自分より目下の人とフラットな関係を築くための会話術を紹介していきます。
※本稿では同書より一部を抜粋しお届けします。

「大谷翔平を招聘しようか、なんつって」

飲み会
×オヤジギャグやダジャレを言う
〇困っているメンバーを助ける

「うちの部にも、大谷翔平を招聘(しょうへい)しようか、なんつってね」

「はい、お釣り、200万円!(笑)」

部下・後輩・年下を前にして、どうでもいいギャグやくだらないダジャレを言う人がいます。疲れている時、ほろ酔いの時、楽しくなっている時。いつものストッパーが外れて口に出してしまう、我慢がきかない……。ですが、それは不正解です。

なぜなら、「下」の立場ならそれを言わないだろうから、です。

年齢を重ね立場も上がり、「上」の立場になったからこそ、心のストッパーが外れるわけです。「これぐらいいいだろう」「受け入れてもらえるだろう」と油断するから、つい口から漏れてしまう。いわば「上」の立場の特権。

「下」はスルーするわけにもいかず、苦笑いするしかない。これでは人間関係として不公平と言わざるをえません。ハラスメントにも似た構図です。

「いやいや、そっちだって言ってくれてかまわないよ」「一緒に盛り上がろうよ」と思うかもしれませんが、「下」としてはそうもいきません。場の空気を寒くできないし、若い人の場合、「恥」の気持ちもまだまだ強い。

「そんなー。こっちだって、悪気があるわけじゃないんだから」「むしろ、がんばって場を和ませようとしてるんだよ、サービス、サービス」という気持ちもわかります。ですが、そのような善意は相手に届かず、むしろ「わが物顔に振る舞っている」という印象を与えてしまいます。

部下・後輩・年下がいる場の緊張をほぐしたいなら、リラックスし、普通に会話をしましょう。ギャグやダジャレで笑わせてやろうと肩に力を入れたり、「無礼講だ!」とガソリンを注ぐのではなく、とりとめもない雑談をし、適宜メンバーに話を振る、ぐらいにとどめます。

「上」の立場に期待される役割は、「場を盛り上げること」よりも、むしろ「治安の維持」です。

酔っ払ってからんでいる人はいないか、嫌な思いをしているメンバーはいないか、会話がヒートアップしすぎているテーブルはないか、と目を配る。「まあまあ」となだめ、「こっちで話そう」と引き取る。これが正解です。

みんなが安全に快適に過ごせるように目を配り、心理的安全性を担保することこそが、飲み会における「上」のお仕事。ヤヤウケするオヤジギャグではありません(笑)。

ポイント:「下」なら言わないギャグは、「上」も言ってはいけない

昔話から「今の子はさ~」となるのは最悪パターン

昔話?
× 「私たちの頃はさ~」と内輪で盛り上がる
〇 「昔話していい?」とエクスキューズする

「私たちの頃は、ほら、超氷河期だったから」

「そうそう。『100年に一度の大不況』とか言われて。マジかよーって」

「俺らが若い頃なんて、まだ今の管理システムになってなかったし」