わたしは、「5分」「15分」と本を読み進めて、ちょっと飽きたり疲れてきたりしたタイミングで「保存」の作業をおこなう。
スマホなら、電車の中で立っているときでも、一連の作業を完結できるので、読んだ本の内容がより深く自分の中に蓄積されていくはずだ。
「自宅の椅子じゃないと本がじっくり読めない」「午後の休憩のお茶のときにカフェで本を開くのが私の読書時間」などという人もいるかもしれない。
もちろん、いつどこで本を読むのかは個人の自由だが、ただでさえ、さまざまな情報が流れ込んできて集中力が続かず、注意散漫になりやすい現代人が、自分で読書する時間と場所を決めつけてしまうと、読書に使える時間はどんどん減っていってしまう。
だからこそ、現代においては、「どんな場所でも読書できるように自分を適合させていくこと」が重要である。
ここでヒントにしたいのは、所有物をできるだけ減らし、身軽でシンプルなライフスタイルを送る「ミニマリスト」の姿勢である。
自宅のモノを減らす代わりに、近所のカフェをリビングに、スーパーをキッチンに見立てるなどして、街全体をくつろげる場所にしようとする考え方があり、「慣れればどこに行ってもくつろげるようになる」という精神的なメリットがある。
ミニマリストにならって、「この場所じゃないと、この時間じゃないと、本が読めない」という呪縛から自分を解き放ち、いつでもどこでも本を読めるように自分を改造していく。そのために有効なのが、スマホをはじめとしたマルチデバイスを駆使することだ。
「ミニマリスト読書」を体得し、いつでもどこでもスマホに手を伸ばせば読書できるようになれば、これまでよりも多くの読書時間が確保できるようになるだろう。
「机がどう」「椅子がどう」という問題ではなく、読書の本質は「文字と文章に自分が向き合うこと」である。
紙の本に比べて、「電子書籍」や「スマホの画面」は読みにくいと感じる人がいるかもしれないが、これも「慣れ」の問題だ。
どんな場所でも、どんな時間でも、どんな姿勢であっても、どんな環境でも、本を読めるようにする。忙しい現代人が限られた時間を駆使して「知力」を身につけるためには、この「新しい読み方」が必要なのだ。
この複雑な世界を生き抜いていくために、ぜひ多くの書籍にふれて「多様な視点」を身につけ「知力」を磨いていく、そのためのひとつの手段として「スマホ読書」を実践してみてほしい。
そうすれば、私たちの「生産性」を落としていたのはスマホそれ自体ではなく、スマホを手にすることで「目に入ってしまう余計な情報」だったということに気がつき、スマホを「最強の知的ツール」として使いこなす「新しい読み方」への道が開けるはずである。