東大生も感動!「伝説の"論理思考"講座」を大公開

問い:日本国内に存在する、携帯電話・スマートフォンの台数を推定してください(以下、携帯電話とスマートフォンを合わせて、”携帯電話”と略して表記します)

さて、まずは「ありがちな回答」を見てみましょう。

1.よく見られる「ありがちな回答」は?

少し論理思考の勉強をした経験のある方の場合、以下のように、ツリー構造で携帯電話の台数を因数分解する方が少なくありません。

「携帯電話の台数」=「人口」×「所有率」×「1人あたり所有数(プライベート所有数 + 会社支給数)」

このように、まずは問いを「構造的」に分解した上で、各項目の検討(数値の推計)を進めていく人が多いです。

しかし、上記の回答には、大きなミスがあります。さて、何をミスしているのか気がつけたでしょうか。

2.「最低限、実施すべき検討」は?

それでは、「何をミスしているのか」を示すために、まずは「最低限、実施すべき検討」を示しておきましょう。

そもそも、携帯電話は、「工場・倉庫」⇒「販売店」⇒「(ユーザーが)毎日利用中」⇒「(使わなくなって)家で保管中 or 下取り・リサイクル」などの、さまざまな場所に存在します。

しかし、先ほどの「ありがちな回答」では、「毎日利用中」の携帯電話しか、計算の対象になっていませんでした。

特に、「家で保管中」の携帯電話の台数に注意が必要です。なぜなら、家の棚の奥などに「過去の数台分」を保管している人も少なくないため、計算した結果、「毎日利用中」と同レベル以上の台数になる可能性があるからです。

つまり、「家で保管中」の台数を見落とすと、推定結果の数値が大幅に小さくなる可能性がある点に注意が必要です。

3.「ありがちな回答」は、何をミスしていたのか

それでは、「ありがちな回答」では、何をミスしていたのでしょうか。

結局のところ、「ありがちな回答」は、「携帯電話が存在する場所を洗い出す」という「大枠の検討」が不十分な状況(補足:「毎日利用中」の項目しか洗い出していない段階)であるにもかかわらず、いきなり「携帯電話の台数の計算」という「個別の詳細な検討」に入ってしまうというミスをしていた点に注意が必要です。

さて、上記のとおり、「論理的に抜け漏れのない検討を行う」ためには、「個別の詳細な検討」に入る前に、まずは「大枠の検討」の見落としを防ぐことが重要です。

ところで、ここで少し考えていただきたいのですが、先ほどの「最低限、実施すべき検討」の内容は、「論理力」から導かれているのでしょうか。

どんな検討を経て、「論理的な解」を導いているのか

先ほどの「最低限、実施すべき検討」では、あくまで「検討の結果」しか紹介していませんでした。そのため、次は、この検討結果に到達するまでの「途中の検討プロセス」の内容について、解説していきます。

1.検討結果に到達するまでの、「途中の検討プロセス」の内容は?

まずは、問いを読んだ瞬間に、「そもそも、携帯電話って、どこに存在するんだっけ?」といった「疑問」を持つことが重要です。

次に、この疑問をもとに「携帯電話の存在場所」を考えるのですが、その方法は複数パターンが想定されます。

方法の例の1つ目は、「(どんな場所で携帯電話を見たことがあるのか)これまでの人生の経験を思い返してみる」という方法です。最も身近なのは、「現在、カバンやポケットに入れている端末」だと思われますが、それ以外に、どこで携帯電話を見たことがあるのか、過去の経験を思い出しながら洗い出していきます。

方法の例の2つ目は、「自分が使っている携帯電話の立場をイメージしてみる」という方法です。もちろん、現在は手元にあると思いますが、その前後の存在場所を想像してみることで、「今の端末は、”ドコモショップ(販売店)”で買ったものだ」「今の端末を使わなくなったら、”中古で売る”か、とりあえず”家で保管”かな?」といった検討を経て、携帯電話の存在場所を洗い出すことができます。