まずこの記事の目的は、私たちの自己表現力を向上させること。これによって健全かつ強力なコミュニケーション力をつけて、みんなが幸せと成功を手に入れることです。
長く続いた集団主義文化の中で「シャイ」であることを口実にしたり、遠慮や忖度を大事にしてきた日本人は、グローバル社会の中で特に今、自分をどう伝えるかという課題について再考し、変化・成長する必要があります。
この大切な目的を達成するために、「PQ」という、新しい力を獲得するための旅を読者のあなたとご一緒に開始しましょう。
「PQ」という言葉からあなたが連想するものは何でしょうか? 多くの人が「IQ」を思い浮かべたかもしれません。IQは「知能指数」として、日本でも長年使われています。1905年にアルフレッド・ビネーらによって開発されたこの指数は知性の力を測定する指数であり、これはいわば「第1の知性」です。
しかし、その後、例えばIQに代表されるような高度な知識や学歴があっても、それだけでは社会で成功するのには不十分だという事実に気づいたダニエル・ゴールマンが、「Emotional Intelligence」を「感情的知性、第2の知性」として開発し、その力を「EQ(感情指数)」と名づけました。
これは広く世界で認知され、日本でも1996年に『EQこころの知能指数』(講談社+α新書)が出版され、広く知られるようになりました。簡単に言えばこれは、相手の気持ちがわかり、自分の感情がわかる力、文字どおり「第2の知性」です。
しかし、どんなに知的な力、つまりIQが高くても、さらにその上に自分や相手の感情をよく理解するEQが高くても、その2つを適切に表現する自己表現力が無かったら、これら2つの力は単なる「宝の持ち腐れ」になってしまいます。
PQの定義は「自己表現力指数」です。PQは、IQとEQに次ぐ重要な「第3の知性」です。
しかもここで大切なことは、PQは単に順番としてIQとEQに次ぐものであるという意味ではなくて、表現の中にこそ、その人の知性「IQ」が内包され、その人の感情「EQ」も内包されているという人間の対人能力の統合形であり最終形であることです。
例えば今日あなたに会ったある人が、「私が今いちばん気になっていることはこの問題です」と語るときに、その言葉には、話し手のこれまでの経験や判断基準やものの考え方(IQ)と、そのときの感情(EQ)がはっきり反映されますし、あなたという相手に対する感情(EQ)も明らかに影響を与えています。心は表現を決めますが、表現も心を反映し、時には表現が心の行く先を決めてしまうこともあります。
この仕組みを簡単に図表?と?で見てください。
人間の基本的欲求の中の最高次元の欲求として「自己実現の欲求」を指摘した心理学者A・マズローも、自己実現欲求が満たされるための条件の1つとして「自己表現欲求」の充足を指摘しています。心にどんな欲求や願いがあっても、それがうまく表現されて、相手に理解され、相手と心がつながっていかなければ、私たちの自己実現はできないというのです。われわれは、たった1人で生きているのでなく、みんなで手をつないで生きる社会的動物ですから、思えばこれは当然のことでしょう。