一般的に、忙しい人に突然ややこしい案件を相談したりしても、大抵は「いま手が離せないから」「来週アポとってから来て」などとなりがちですよね。でも、グーグルでは、誰に突然割り込みをかけても、すぐに対応してくれました。どんなに忙しくしていても、瞬時に切り替えて割り込み処理に対応して、頼んだことに協力してくれるのです。
会議中も、わからないことが出たり、データが必要になったとき、外にいる詳しい人にチャットでどんどん質問します。すると、すぐに知見やデータを送ってくれるので、会議が中断されることなく続けられます。仕事全体のクオリティーをあげるために、サービス精神を上手に発揮しようというメンタリティーもありますね。
また、グーグルでは、1時間の会議をやれば、必ずアクションと責任者、そして、いつまでにやるのかという結論を出します。議事録は、クラウド上にあり、権限をオープンにしていれば、興味のある誰もが閲覧できますから、スタンプラリー(稟議を回すこと)の必要もありません。
意思決定者はつねに現場の担当者です。現場の1人ひとりが意思決定者であり、その人が決めたことについて、上層部は追認し、どうすればより良くなるか、知恵を持ち寄って話し合い、サポートするのです。現場への権限移譲が進んでいることも仕事の速さの理由です。
何かアイデアを提案すると、みんなが面白がって、ポジティブなフィードバックをくれるカルチャーもあります。
日本の会議の場合、偉い人が集まる会議でプレゼンすると、「そんなもの売れるのか?」とか「失敗したらどう責任をとるつもりだ?」などとさまざまな難癖をつけられたり、否定されたりしがちですよね。やってみればうまくいくかもしれなかったことも、企画段階で潰されてしまうわけです。
こういった話をすると、「それは、グーグルが優秀なエリート集団だからできるのでは?」と反論されることがあります。たしかに、グーグルが優秀な人材を集めていることは、間違いありません。しかし、そのような反論は、最初から「だから自分にはできません」と言い訳を言っているようなものではないでしょうか。
そのような場合、私は、「いえいえ、グーグルでもできるのだから、あなたにも、あなたの会社にもできるのではないですか」とお応えするようにしています。
グーグルも人間の集合体です。そして、他の会社も、さまざまな才能を持った人たちが集まっているわけです。経営者が本気で仕掛けたり仕向けたりすれば、もっといろんなことができるようになるはずです。
グーグルは、情報開示を積極的に行っている企業です。その中には、自社の意識改革や企業改革のためのヒントがたくさんあります。そこから学ぼうとすることは、とてもいいアイデアだと思います。日本企業の奮起を期待したいと思います。
(構成:泉美木蘭)