なぜか仕事がスムーズに回る人の「時間」の使い方

高速で仕事をしている人はいったいどんな工夫をしているのでしょうか(写真:BongkarnThanyakij/iStock)
「すぐ行動に移せない」「人に時間を奪われる」……多くの人が時間を無駄にしたことへの悩みを抱きがちだ。そんな人たちに向けて、30年間、起きている時間すべてを時間割に落とし込み、労働時間は半分・収入を数倍にした経営コンサルタント藤井孝一氏が、カンタンかつ画期的な時間管理術を提案。藤井氏の著書『すぐ動けない人のための時間割仕事術』から一部を抜粋・再構成して、高速で仕事をしている人から学ぶ生産性を上げるコツについてお届けする。

面倒くさがりやさんでもできる!

「好きなことを、好きな人と、好きなときに、好きな場所で、好きなだけ」やって、自由な人生を送りたい。誰でも一度は夢見る人生です。そのために必要なのは、いつ・何をするのかを事前に決めること。すなわち時間割づくりです。でもその時間割すら、つくるのが面倒くさいという、"筋金入り"の怠け者がいるのも事実です。

そういう人でも無理なくできる時間割づくりをお教えしましょう。まずは紙を1枚用意して「やるべきこと」を書き出してください。

白い紙に、とりあえず書く。すべて書く。それだけ。

顧問先の会社にも、仕事にとりかかるのが遅く、いつもグズグズしている若手社員がいました。どうやら、やることがあまりにも多く感じられて、どこから手をつけていいのかわからず、テンパッているようでした。

そこで、A4の白いコピー用紙を1枚用意して、「優先順位も所要時間もやり方も、何も考えなくていいから、とにかくやらなきゃいけないことをここに箇条書きで全部書き出してみて」と指示を出しました。

書き出すだけの作業は簡単で、半ば自動的にできます。書き出してみると、いったん気持ちが落ち着きます。箇条書きを眺めると、優先順位や手順がわかります。その作業をきっかけにすぐ仕事にとりかかれるようになりました。そして終わったものは線を引いて消すようにしました。こうするだけで彼は、仕事をため込むことがなくなったといいます。

なお、参考までに言っておくと、パソコンやスマホで書くより、紙に書いたほうがいいと思います。いろいろな誘惑があって、怠け者はついネット検索をしたり、SNSを見たりしがちです。紙とペンだけ用意して、ひたすら書くほうが集中できます。

箇条書きにしてみると、意外とやることが多くないとわかります。もちろん、書き出してみたら、やることがものすごく多くてげんなりする場合もあるでしょう。でもとにかく書き出せば、ごちゃごちゃしていた頭がスッキリして、それだけでストレスが解消できます。書き出すという仕事が一つ終わるので、達成感も得られます。

そして書いてみたものをざっくり眺めてみてください。すると「今やらなくてもいいこと」とか「人に頼めそうなこと」とか「そもそもやらなくていいかも」ということが出てきます。そういうものに○をつけたり、×をつけたり、( )に入れたりして、振り分けていきます。要は「NOT TO DO」リストをつくるわけです。

すると、どうしても「今やらなければいけないこと」だけが残ります。まずはそれだけやればいいのです。

終わったら、線で消していきます。それだけで少しスッキリして、やる気が出てきませんか?

人は「何となく忙しい」とか、「やらなきゃいけないけど、やる気にならない」などとばくぜんと思っているときがいちばん不安で、ストレスがたまります。お化けと一緒ですね。実体はよくわからないけれど、何となくこわいと思っているからこわいだけ。実はお化けの正体はススキの穂なんだよ、と実体がわかれば、それほどこわくないし、対策も立てられます。