プレゼンやスピーチなど「まとまった話」を「確実に相手の心を動かすように」話したい場合、大事な要素は「話すテクニック」3割、「話す内容」5割、「スライドを含めた見せ方などの演出」2割。これらの要素をしっかりと区別して磨くこと、特に話す内容はいったん原稿に書くことが大切であることを、前回お話ししました。
今回はプレゼンの際、重要度5割を占める「話す内容」の磨き方のコツです。
これまで何千件ものビジネスパーソンのプレゼンを仕事で聞いてきましたが、いつも思うのは「調べたこと、言いたいことを、ただ並べただけ」のものが多いなぁということ。例えばこんな感じです。
何がおかしいの?と思われたでしょうか。もしそうだとしたら、少し注意が必要かもしれません。説明していきましょう。
最初の「新サービス○○についてお話しします」。これはいいんです。問題はその次。「その前に自己(自社)紹介をさせていただきます」。これがダメなんです。
なぜこうなるのか、私は不思議でなりませんでした。プレゼンした人に聞くと
「だってふつう、まず自己紹介は必要ですよね」
こう答えられることがほとんどです。
この「ふつう」が問題なのです。なんとなく、「ここは自己(自社)紹介だよねー」と話しているのではないでしょうか?
聞き手の立場に立ってみましょう。「新サービス○○についてお話しします」と言ったら、次は何を聞きたいと思いますか?
「○○はどういうものなのか」「どれくらい画期的なものなのか」などを、まずはざっくりと説明してほしいはずです。そんな思いを持っている人に、
「その前に、自己(自社)紹介を……」
なんて言われるとどうでしょう。何かはぐらかされた感じがしませんか?
そもそもプレゼンターの自己紹介や会社紹介に関心があるでしょうか?
早く本題について話を聞きたいはずです。
同じように、本題に入る前に「背景」や「現状認識」を長々と話されるのも聞き手にとっては退屈です。しかし、話す側にとっては逆。話し手にとって非常に話しやすいのが、この「背景」や「現状認識」なのです。理由は簡単。ちょっとネットを検索すれば、自分が話したい内容に関する事例やデータはすぐ手に入るから。それを話しておけば、もっともらしい話をしているような気分になれるからでしょう。
プレゼンでもスピーチでも大切なのは、最初にひきつける部分、いわゆる「つかみ」があるか、です。「つかむ」ためには、長い自己紹介や現状認識など「余計な前置き」は不要。とにかく最初に、「へー、面白そう。この先も聞いてみたい」と思わせるのです。