今年のクリスマスは、24日が金曜日、25日が土曜日と、曜日のめぐり合わせとしては最高レベル。実際、クリスマス当日が休日(土日祝)になるのは2016年以来5年ぶりであり、緊急事態宣言の解除から約2カ月が過ぎたことも含め、例年以上に盛り上がる要素はそろっていました。
しかし、クリスマスが近づいてきても、ムードが高まっているようには見えません。繁華街の人出は増えたものの、かつてのようなクリスマスプレゼントを買うための行列はさほど見られず、クリスマスディナーの予約も空席が目立ち、「選び放題」の状態。クリスマスケーキも、「ホールが売れなくなり、当日販売を減らして予約販売のみの店も増えている」と聞きました。
さらに、数年前は競い合うように飾られていた各家庭のクリスマスイルミネーションも、シンプルな方向に落ち着いています。それどころか、12月に入ってから、ターミナル駅、大型ショッピングモール、空港、テーマパークの巨大クリスマスツリー前を通りましたが、どこも写真を撮る人が少なかったことに驚かされました。
テレビを見てもクリスマス特番は、長年放送されている深夜の「クリスマスの約束2021」(TBS系)、「明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー2021」(フジテレビ系)くらい。
また、今秋は「恋です!」(日本テレビ系)、「婚姻届に判を捺しただけですが」(TBS系)の恋愛ドラマ2作が放送されましたが、クリスマスが間近に迫った最終話で、それにふれず終了。秋の恋愛ドラマは「クリスマスのシーンでハッピーエンド」が定番で、昨年の「この恋あたためますか」(TBS系)、「姉ちゃんの恋人」(カンテレ・フジテレビ系)、「#リモラブ」(日本テレビ系)はそうでした。メインターゲットの若者に響かなくなったから、今年はそうしなかったのでしょう。
クリスマスにかかわるヒット曲が生まれなかったことも含め、街、ネット、テレビ……どこを見ても、盛り上がっている様子が感じられません。なぜ日本人はこれほどクリスマスというイベントに対してクールになったのでしょうか。
「クリスマスが盛り上がらなくなった」と感じる理由の1つが、人々のインドア志向。
かつては、「クリスマスイルミネーションを見に行く」「クリスマスディナーを食べにレストランへ行く」「クリスマスプレゼントを買いにショッピングモールへ行く」ことが当たり前のように好まれていました。
しかし最近では、「寒いところへ行くより暖かい家で自分の好きなものを見る」「食事はテイクアウトかデリバリーで家」「プレゼントはネットショッピングで買って届けてもらう」というインドア志向の人が増えています。
「家で楽しむ」という人が増えれば、必然的に人が集まる状態が減り、盛り上がりは感じにくくなるでしょう。たとえば、「イルミネーションスポットに人が集まる」「満員のレストランでクリスマスディナーを味わう」「クリスマスプレゼントを買うための行列ができる」という状態が減れば、それだけ賑わいを感じる人も減ったことになります。
また、家で楽しむ以上、食事やプレゼントなども家庭的なレベルのものにとどまりやすいのもポイントの1つ。「せいぜい近所で買ってきたケーキとチキンを食べるくらい」という現実的な人が多くを占めるようになれば、おのずとプレゼントも豪華なものにはなりにくいものです。もちろんコロナ禍による収入減や外出自粛などの影響もあるはずですが、それは2次的な理由にすぎないでしょう。