今年のクリスマスが全然盛り上がらない納得の訳

近年、クリスマスのことを「幼い子どもたちのためのイベントになった」という声をしばしば聞くようになりましたが、それは必ずしも正しいとは言えない気がします。大人たちも、自らの意思でインドアでの簡素化したクリスマスを楽しむように変わったのではないでしょうか。

ハロウィンより自由に楽しめない

先日、20代前半のカップル3組と、大学生グループ、社会人グループに、クリスマスに関する話を聞かせてもらいました。

なかでも印象的だったのは、「寒いのにわざわざ外へ行って、高いお金を払ってご飯食べて、並んでイルミネーション見て、無理してプレゼント買って……。僕らにとってはかなりコスパが悪いイベント」という大学生カップルの声。

「自分の好きなものを選んで時間とお金をかける」という金銭感覚のシビアな若者世代にとってクリスマスは魅力的ではないのかもしれません。だから、恋人へのプレゼントも無理して高価なものを買うことはなく、その日だけ高いクリスマスディナーは食べないのでしょう。

もう1つ象徴的だったのは、「パーティーも『クリスマスだからやろう』とは限らなくて、忘年会とか、誰かのお祝いでやればいいと思っています。だって無理にケーキ、チキン、プレゼントを用意しなくてもいいから気楽」「クリスマスって決まっているものが多くて、お金がかかりますよね。ハロウィンのように自分らしさを自由に出して楽しめる感じもないし」という大学生グループの声。

確かにクリスマスは、「お金をかけて決まった形式のイベントを楽しむ」というニュアンスが強く、ハロウィンと比べると自由度は少ないのでしょう。また、同じ年末で言えば、カウントダウンのほうがお金はかからず、自分らしさを自由に出しながら、集まって盛り上がれるイベントに見えます。

さらに1つ加えるなら、かつてホールケーキとチキンにはクリスマス特有の特別感がありましたが、現在ではそれほどでもなくなりました。言い方を換えると、「ケーキは『誕生日とクリスマスしか食べられない』という時代ではなくなった」ということ。ひいては、クリスマスそのものも、ハロウィンなど別の魅力的なイベントが増えたことで特別感が薄れてしまったのでしょう。

「クリスマス」は若者の逆トレンドに

社会人グループから聞いた言葉で最も驚かされたのは、「クリスマスがどうとかインスタにアップするのは恥ずかしい」「ケーキやツリーをSNSにアップするのは、おじさん、おばさんのすること」という声。

つまり、クリスマスを古いものの象徴として見ていて「逆トレンドのようになっている」ということでしょう。これは「クリスマスはお金をかけるイベント(バブル期っぽい)」「クリスマスは恋人同士のイベント(恋愛依存っぽい)」というイメージが、コスパや仲間を重視する若者世代にフィットしないからです。

さらに、同調圧力があるのか、孤立を恐れているのか、「彼氏と食べたクリスマスディナーをインスタにアップするのはイタイと思ってやめたことがあります」「イルミネーションもクリスマスと関係ないものを選んでアップしました」と話す女性もいました。

もちろん、その彼女も「人からどう見られるか」ばかりを気にしているわけではありません。自分自身でも、「クリスマスはコスパが悪いから、旅行とかにお金をかけたい」と思っているようなのです。このようなカップルたちの消費に対する意識の変化も、クリスマスが盛り上がっていないように見える理由の1つでしょう。

過剰さが消えて、適正イベントに

その他にも、天皇誕生日が12月23日から2月23日に変わった影響を挙げる人もいますが、これは理由の1つであっても、根本的なものではないでしょう。