58歳で脱サラ元記者が「小さな本屋」へ転身のなぜ

「今からでも知りたい。知らなければいけない」。その思いから、ジェンダーやフェミニズム関連の書籍を仕入れることが増えた。

たくさんの人との出会いがあって、偶然に偶然が重なって。理想とする「本屋のかたち」はないが、お客さんの声を聞いて変化し続けたいと願う。「空振りや失敗をしても、次の一手を出したり、誰かに声をかけたりすれば、また何か新しいものが生まれる。でも行動しないと何も始まらないから」。

お店に入ってすぐの書棚にはジェンダーをテーマにした本が多く並ぶ。落合さん自身が「知りたい」と思う分野だからだという(撮影:尾形文繁)

あるとき、前職の同僚から「なんか、いきいきしていますね」と言われた。自分では普通のつもりだが、そういってもらえたのは素直にうれしかった。

今年5月、まったく何も売れなかった日がオープン以来、初めてあった。鼻をへし折られた感じがしたが、時間が経つにつれ、肩の荷を下ろしたような気分にもなった。「店をやっていれば、こんな日もある。また明日、シャッターを開ければいい」。

本屋としての毎日は続いていく。