5%リーダーは、話すことよりも話しかけられることを重視する人たちです。
だから時間の余裕があることをあえて見せていました。
時間的な余裕を生み出すために会議改革や、資料テンプレートの統一などに取り組んでいることもわかりました。
5%リーダーは、チーム全体の「時間的余裕」を生み出すためにさまざまな工夫をしていたわけです。
こういったことを感じ取るメンバーは必ずいます。
自分たちのために時間の使い方を工夫して、時間と気持ちの余裕を作ることに力を注いでいる上司を見れば、自然と信頼と感謝が高まります。
こうして、実際は忙しくても忙しい素振りを見せず、自ら率先して「すきま時間」を作り出すことで、メンバーから話しかけられやすい間を作っていたのです。
「今ちょっといいですか?」と言い合えるチームメンバーであれば、チームワークがすごくうまくいっています。
事業開発や、企画会議、ブレーンストーミング、アイデア出しの会議でも「今ちょっといいですか」が言えるとアウトプットをしやすくなります。
私は、この4年間で19社17件の事業開発に携わりました。
その17件のうち会議でアイデアが出たのはたった2件。15件は会議が終わった後に、前室や廊下で、他の部門や上司に「今ちょっといいですか」が起点となっていました。
オンライン会議の後も、しばらく残っていると「今ちょっといいですか?」と声を掛けられることがあります。
出勤でもテレワークでも「今ちょっといいですか?」と言い合える関係性を作ることができれば、チームでの共同作業ははかどります。
お互いに協力し合う文化、過剰な気遣いがなく気軽に会話ができる雰囲気があれば、チームはうまくいきます。
それをお膳立てしていたのが5%リーダーでした。
メンバーとの1on1ミーティングは、相手のエネルギーを高めることが目的の1つです。
しかし、何でもかんでもほめればいい、というわけではありません。ときには間違ったことを指摘し、メンバーの成長を促すために厳しいフィードバックをします。
5%リーダーの1on1ミーティングの録画データを確認すると、全体的にメンバーが多く話せるようにうまく促していました。メンバーからフィードバックを求められれば、5%リーダーは良い点も悪い点もメンバーに伝わるように話します。
一般的な管理職と大きく異なっていたのが、ほめるポイントとほめ方です。
5%リーダーは、メンバーの能力やセンス、行動をほめて、メンバーに対して興味・関心を持っていることを示します。そして、日頃からメンバーによく声をかけ、ちょっとした進捗や成長を認めてフィードバックしてあげるのです。
自分からメンバーをほめるだけでなく、チームの同僚同士で励まし合うことも促していました。
ある製造業の5%リーダー3名は、一般の管理職よりも2.8倍多くポジティブなフィードバックを与えていました。
また、5%リーダーは第3者を通して相手をほめる間接承認をよく使います。
メンバーに直接「いつも親身にサポートしてくれてありがとう。とても助かっているよ」と伝えるのに加えて、第三者を通してほめると、メンバーの喜びは倍増します。
例えば、「〇〇さんがあなたのことをとても感謝していたよ。いつも親身にメンバーをサポートしてくれてありがとう」と伝えます。こちらのほうが、うれしさが増すのです。
その理由は2つ。
1つ目の理由は、第三者の名前が思いがけずに出てくると、ポジティブ・サプライズ(予想外の喜び)となるからです。
もう1つのポジティブ・サプライズはリーダーに対してです。
「第三者からのフィードバックを集めてくれたなんて、リーダーはすごいな」