私が113名のトップ5%リーダーへヒアリングして衝撃的だったのは、誰一人として「忙しい」と発言しなかったことです。
なかにはトラブル対応のために土日出勤したあとにヒアリングに対応してくれたり、オンラインで世界各地の顧客に対応した直後に今回の調査に協力してくれた方もいました。
時間的に余裕がない方もいたはずなのですが、「忙しい」という言葉を発することを躊躇しているように感じました。正直なところ、ヒアリングの時間を取ることを明らかに嫌がっている方もいましたが、それでも「忙しいから困る」といったような発言をする人は誰もいなかったのです。
一方、102名の一般的な管理職に対するヒアリングでは、嫌な表情する方はさほど多くありませんでしたが、人手不足や忙しさを口にする方が6割ほどいました。
5%リーダーの中でもメンバーから話しやすいと評価される方は、独特の間(ま)を持っており、「何でも話していい」という雰囲気があります。
今回のヒアリング調査に関わった弊社のメンバーも、そういった5%リーダーのヒアリングをする際は、ついつい話すのが気持ちよくなって聞くことよりも話すことが多くなってしまうことも多々ありました。
そこで、「話しかけやすい5%リーダー」たちの行動履歴をさらに深掘りしました。
すると、同じ職種の方に比べて業務量は若干多いことがわかりました。配下のメンバーも多く、対応すべき商品ラインナップや顧客数なども決して少なくありません。そして、かなり多くの会議が入っていました。
しかし、カレンダーは15分刻みになっており、こまめにすき間時間がありました。
アウトルックやGoogle カレンダーでは初期設定が1時間刻みになっていますが、5%リーダーは初期設定を変えて15分刻みにしている方が多かったです。
もちろんすべての5%リーダーではありませんが、私が確認した5%リーダーの31%が15分設定にしていました。
15分刻みの設定にしていた5%リーダーに話を伺ってみると、打ち合わせが入らない時間をわざと作り出しているようでした。
ヒアリングでは、「たまたま時間が空いただけ」「会議時間を短くしたいから」といった回答が多く、これは5%社員と同じ傾向でした。しかし、この行為の目的が何か追求したときに、5%社員との違いが明確になりました。
5%リーダーは自分のためにすき間時間を作っているのではなく、メンバーから「気軽に話しかけられる時間」を作っているとことがわかったのです。
自分から積極的に話しかけることよりも、話しかけかけられやすい雰囲気や時間を作るように彼らは工夫していたのです。
たしかにメンバーから見て、予定がきっちり詰まっている上司よりも、すき間時間がある上司のほうが話しかけやすいのは明確です。