天才オードリー・タン母語る「子を自立させる術」

『天才IT相オードリー・タンの母に聴く、子どもを伸ばす接し方』(KADOKAWA)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

どちらの学習方法でも、協調性や社交性、愛情、魅力などを身につけ、社会に認められるようにはなると思います。しかし、社会は知らず知らずのうちに人々を道具や物のように扱って、支配しようとします。それに対抗できる力は、自主学習でしか育ちません。だから私は他者主導型ではなく、自主学習を主張するのです。

教育の専門家は子どもを持つ親に対して、よく「スタート時点で負けが確定してしまいますよ」と脅したり、「道を踏み外さないよう、お子さんのそばにいてあげて」と忠告したり、「成功した親になりましょう」と言ったりします。この言葉に従って「成功」した親たちは、子どもにも同じように成功してほしいと望みます。

しかし自主学習では、自分の子どもがスタート地点やゴール地点で負けたらどうしようと思うことも、子どもに世間のいう成功を収めてほしいと願うこともありません。親が子どもに望むのは、つねにはっきりした考えを持ち、自分の人生の主人公でいることだけなのです。