――Clubhouseで今起きている、印象的な出来事について教えてください。
2月1日、テスラ創業者のイーロン・マスク氏がTwitterで「今夜10時にClubhouseに登壇する」とつぶやくと、Clubhouse上のイベント会場であるroomの定員5000人はあっという間に埋まりました。
イベントが開始されると、参加者がroomの内容を中継するroomが次々立ち上がり、数万人が彼の話を聞いたとされています(規約上、roomの内容を中継することは禁止されています)。
日本では、落合陽一氏など著名人、有名経営者、芸能人の主催イベントが次々立ち上がり、そこに別の有名人が参加者として立ち寄り、その場でコラボが成立することもよくあります。
一般人が主催するイベントにも有名人が来て登壇するなど、これまでありえなかったことが普通に起き、それがSNSで拡散されてさらなる熱狂を招いています。
――なぜClubhouseだけがそのような熱狂を生み出せたのでしょうか。1人2枠の招待制を形だけ真似しても同じことが起こせる訳ではないでしょう。全体のメカニズムについて教えてください。
音声メディアは元々注目されていた市場で、拡大する素地があったのも事実です。Clubhouseもアメリカで1年ほど前から試作版が出て巨額の資金調達にも成功しており、スタートアップ関係者には知られていました。
そうして関心が高まっていた中で、日本での利用が可能になりました。ここで「1人2名」の招待枠が効いてきます。2名しか選べなければ、重要な人で、実際サービスを使いそうな人を厳選して誘うでしょう。
初期メンバーの質が高ければ、そこに入りたいと思いますし、アクティブな人の割合が高ければ、新しいメンバーもそれにつられて積極的に活動します。サービスが良いものだと思えば、自分の仲間も誘いたいと思うでしょう。そうして人が人を呼ぶ好循環が回ります。
――Clubhouse急拡大の背景には、「圧倒的な気軽さ」と「安心感」もあるようです。
ほかの参加者が主催者の許可なく発言することができないので、ヤジを飛ばされたり、絡まれたりするおそれもありません。逆に、話が合いそうな人は会話に引き上げることができるなど、圧倒的な「ホーム感」が大きな魅力です。
配信されるのは音声だけ。カメラ映りや資料を気にする必要がなく、チャット機能すらないので、「話すこと」にのみ集中できます。
文字通り「クラブハウス」での雑談のような気軽な会話がそのままコンテンツとなるよう設計されているので、数時間後や翌日といったスピード感でイベントが立てられます。