佐々木康裕(以下、佐々木):『ライフスパン』を読んで、人生観が変わるほどの刺激を受けました。
人生120年時代、それも健康寿命が120歳まで延びる時代になる。僕はいま30代後半ですが、プラス80年となると2100年、22世紀まで生きるという話ですよね。人類の進化を考えるとワクワクします。
体の一部をサイボーグ化する、地球以外の場所に定住する、その他いろんなことができるようになると思うと、過去の資産を食いつぶすのではなく、これからも資産を積み上げていかなければということも思いました。
宮本裕人(以下、宮本):僕は、佐々木さんとは逆で、怖くなりました。
多くの人が120歳まで生きられる世界になったとき、いまの世の中の悪いところも1.5倍ぐらいに拡大されるのではないかと感じたんです。
宮本:人間が地球に与えるダメージも大きくなるでしょうし、「ブルシット・ジョブ」と呼ばれる意味のない仕事を「まだ何十年もやらなければならないのか」と感じる人も増え、格差もさらに広がってしまうのではないかと。120歳まで生きられる社会になると同時に、「120歳まで生きたくなる社会」を作らなければならないように思いました。
岡橋惇(以下、岡橋):僕も、楽しみに感じる一方で、宮本さんのように数々の問題が出てくるのではないかとも感じました。この本から連想したのは2016年に大ベストセラーになった『ライフシフト』です。
2007年生まれの人の50%以上が107歳まで生きる時代になっているということが書かれた衝撃的な本でしたが、『ライフスパン』は、それについて医学的な観点からさらに事細かに示されていて、改めて自分自身のことや社会の未来のことを長期的な視点で考えさせられました。