そもそもフェルミ推定自体が「一見つかみどころのない事象を単純化して計算を容易にし、概数を算出する」という抽象化思考そのもので、例えば「道路は格子状に配置されている」とモデル化、単純化して考える発想が求められます。
いろいろなパターンを考えすぎて時間切れになってしまうことを避けるために「いかに枝葉を切り捨てられるか」も重要です。
また同じ特徴を有する既存の知識でロジックを適用できないかという「アナロジー」の活用もこの抽象化思考の応用です。そもそも道路を「格子」で考えるのは広義でのアナロジーともいえるでしょう。
実は、フェルミ推定にいちばん求められるのは問題解決に対しての好奇心かもしれません。フェルミ推定の問いかけに対して「目を輝かせて」乗ってくるタイプの人と「何やら難しそうだ」と当惑してしまう人、あるいははじめから「わかるわけがない」と諦めてしまう人がいます。
この解答者の「目の輝き」(ファイティングポーズと言ってもいい)と地頭力はほぼ比例する傾向があるようです。
また、フェルミ推定の解答の根本には論理思考力があります。ここでは、誰に対しても合理的に話がつながっているということが算出ストーリーとして要求されます。
最後に直観力に関して、フェルミ推定は必ずしも論理的に考えるだけで解答の切り口を見つけることはできず、ひらめきや直観という要素が必要になってきます。
またある程度、フェルミ推定の数をこなすことによって、適切な仮説や切り口のオプションを考えるスピードが速くなってくるため、簡単なトレーニングの繰り返しによって、実際にはより複雑なビジネスへの応用力を上げることも可能になります。