5G対応「iPhone 12」は形も大きさも超絶進化

さらにMagSafeに付加価値を付けた。磁石を用いてiPhoneの背面に吸着できるようになるため、クレジットカードなどを収納できるレザーウォレットなどの新しいアクセサリーを用意した。またNFCを用いた識別機能を用意することで、スポッとかぶせるタイプのケースでもディスプレー側の窓から時間を確認できるなど、アクセサリーの機能性や自由度も向上する。

アップルは、iPhoneの画面の中にアプリ経済圏を作り出したが、背面に磁石で吸着するアクセサリー経済圏を構築しようとしている。おそらく今後もMagSafeは規格として継続していくことになり、サードパーティーが安心して参入できる環境を一挙に整えた。

Proモデルのカメラ機能

iPhone 12 Proは5.8インチから6.1インチに画面が拡大された通常モデルと、6.5インチから6.7インチにさらに大画面化したiPhone 12 Pro Maxが用意された。

iPhone 12のアルミフレームとは異なる、ステンレススチールを用いたフレームが採用され、シルバー以外はすべて新色となるグラファイト、ゴールド、パシフィックブルーの全4色がそろう。ゴールドは、Apple Watchのステンレススチールケースと同様、金を含まないながら18金のような輝きを放つ新しい仕上げ。またブルーは2019年モデルのグリーンと入れ替わった落ち着いた色合いだ。

Proモデルはカメラが異なる。iPhone 12には広角と超広角の2つのカメラを備えているが、iPhone 12 Proにはこれに望遠と、5mまでの正確な測距が行えるLiDARスキャナが追加される。LiDARスキャナはARアプリでの空間把握を素早く正確に行えるが、iPhone 12 Proではさらに、暗所でのオートフォーカスの高速化にも活用することで、6倍の速度に向上させた。

また「Apple ProRAW」と呼ばれるセンサーデータをそのまま記録する画像保存が2020年中に利用できるようになるのもProモデルのメリットだ。iPhoneの「写真」アプリやAdobe Lightroomなどの写真編集アプリを用いて、画像劣化を起こすことなく好みの仕上がりに編集することができるようになる。

iPhone 12 Pro Maxは、さらにカメラの仕様が異なる。まず広角カメラは、センサーシフト式の光学手ぶれ補正が採用され、2秒間の手持ちシャッターでもブレずに写すことができ、暗所撮影がもっと安定する。加えて、望遠レンズはiPhone 12 Proの52mmよりもさらに拡大される65mmとなった。光学ズームで5倍、デジタルズームで12倍は、iPhone 12 Proよりも大きく近く寄ることができる。

こうしてみると、iPhone 12 Pro MaxはiPhone 12 Proより1万1000円高いが、ディスプレーサイズ、カメラの違いから、それ以上の体験価値が備わっていると感じることができる。一方iPhone 12 Proは、iPhone 12よりカメラは1つ多いが、iPhone 12 Pro Maxのカメラの魅力からすれば、おとなしい性能だ。

アップルはこれまで、同社のオペレーションを100%再生可能エネルギーに転換し、iPhoneの製造に関わるサプライヤーについても、同様の転換を進めてきた。アップルにパーツや技術を提供する日本企業も、すでにエネルギー転換を済ませている企業が増えている。

アップルは2030年までに、気候変動に対する環境インパクトをゼロにする目標を立てて、その取り組みを強めている。同社で最も販売台数が多いiPhoneの最新モデルにも、その取り組みの効果が見られた。