「朗読」は性別や世代を問わず、すべての人に計り知れない恩恵をもたらしてくれる――。
『話し方が上手くなる!声まで良くなる!1日1分朗読』(東洋経済新報社)の著者、魚住りえ氏はそう主張する。ご存じの方も多いだろう、フリーアナウンサーであり、スピーチレッスン講師、ラジオ番組のパーソナリティー、ナレーションの仕事などを幅広く手がけている人物である。
話し上手になるとか、言葉がスラスラ出てくるとか、声がよくなるとか、朗読の効果はさまざま。もちろん語彙も増え、表現力や文章力もつくに違いない。さらには表情が豊かになるなど、外見も変化してくるのだという。
いろいろとメリットは少なくないというわけだが、しかし、そもそも「朗読」と「音読」はどう違うのだろう? 似ているようにも思えるが、両者には明確な違いがあるのだそうだ。
魚住氏は経験的に、「話し方」を劇的に向上させるのは、音読の先にある「朗読」だと確信しているのだという。そこで本書では、単に自分だけで音読するのではなく、相手に届ける「朗読」をしようと提案しているのである。
ベースになっているのは、魚住氏が30年以上の経験から生み出したという「魚住式メソッド」。その中から、“朗読の裏ワザ”をご紹介しよう。
簡単にできるものばかりだが、効果は抜群。「ここにちょっと気をつけるだけで、ビックリするほど上手に聞こえる」という朗読のスキルだという。
「この件に関してはぁ(⤴)、再考の余地があると思うのですがぁ(⤴)」
「そういうつもりはなかったのにぃ(⤴)、思わぬ得をしたのでぇ(⤴)」
例えばこのように、無意識のうちに「は」「に」「が」「を」「て(で)」など、助詞(の音)を上げて話してしまう人は多い。しかし助詞を上げる話し方は、相手にいい印象を与えないものでもある。
しかも、それが癖になっている人は、朗読する際にも助詞を上げて読んでしまいがちなのだという。だとすれば、意識して助詞を下げるようにしたほうがよさそうだ。
とはいえ、すべての言葉に抑揚をつける必要はないはずだ。むしろ大切なのは、「強調する部分」と「捨ててもいい部分」で、メリハリをつけること。
「捨ててもいい部分やセンテンス」を見極めるのは難しそうだが、慣れれば自然と見定めがつくようになると魚住氏は記している。確かに“慣れ”は重要なのだろう。
また、一定のパターンもあるのだとか。例えば同じ言葉や文章が繰り返される場合は、どうしてもくどくなってしまう。しかし、だからといって必ずしも2回目以降を、1回目と同じように強調する必要はないということだ。