1日1分朗読で話し方が断然うまくなるコツ9選

③ 一音一音をはっきり丁寧に発音する

最初のうちは、一音一音をはっきり、丁寧に発音するよう心がけることが大切。「ありがとうございました」ならば、

「あ、り、が、と、う、ご、ざ、い、ま、し、た。」
(『話し方が上手くなる!声まで良くなる!1日1分朗読』123ページより)

と、最後の「た」の音まで気を抜かず、しっかり発音するということだ。なお、このときは句点(。)まで感じる気持ちで発音するとなおよいそうだ。スピードに関しては、多少ゆっくりになったとしても問題はないという。

しかし、こうした配慮がなぜ必要なのか? 魚住氏によれば、理由は明確。1音1音、はっきり丁寧な音にして気持ちを込めれば、相手に伝わる力が倍増するからだ。また、1音1音を確認しながら大事に読めば、早口になってしまうのを防ぐことも可能。

緊張していたり焦っていたりすると、読んでいるうちについ早口になってしまうものだ。経験のある方もいらっしゃるのではないだろうか? しかし早口で読み上げてしまうと、内容が上滑りしてしまうため、どうしても相手には伝わりにくくなる。

だからこそ、しっかり発音することが大切。速さに関しては「これではスローすぎるのでは?」と感じるくらいでちょうどいいのだという。

④ 「読点」どおりにしないパターンもある

通常、文章には「読点(、)」がついている。しかし音に出して読む場合には、必ずしも読点どおりにしないほうがいい場合もある。簡単なことで、読点が出てくるたびに息継ぎをして間をあけてしまうと、文章が間延びして相手に伝わりにくくなるのだ。

そのケースごとにどうするべきか判断する必要があるわけだが、いずれにしてもそういう場合は、読点で文章を区切っても息継ぎせず、そのまま次のセンテンスへ入ればいい。

ほんのちょっとの間ではあるが、そのような細かい配慮が「聞きやすさ」「聞きにくさ」を左右するということだ。

腹式呼吸を身に付けよう

⑤ 「ここぞ」というときは、あえて「ワンブレス」で

「ここぞ」という重要なタイミングでは、あえて息継ぎをせずに「ワンブレス」で読み上げるのがいい。そうすれば「粘りが出る」「迫力のある」話し方や読み方ができるからだ。

これはプロのスキルであり、プロの歌手も使っているもの。サビの部分などをワンブレスで歌い上げれば、大きく盛り上げることができるわけだ。

「ワンブレス」が可能なのは、腹式呼吸あってこそです。
腹式呼吸はたくさん息が吸えるので、次の息継ぎまでの時間が稼げます。ですから、一呼吸でたくさんの言葉を話せる(読める)のです。
逆に、胸式呼吸だと、浅くしか息が吸えないため、すぐに息苦しくなって息を吸い、少し話してまた息を吸う、の繰り返しになります。すると、朗読も「ぶつ切り」になってしまい、非常に聞きづらくなります。
(『話し方が上手くなる!声まで良くなる!1日1分朗読』125ページより)

そのため、ここぞというときのワンブレスができるように、朗読の基本である「腹式呼吸」トレーニングをしっかり行うべきだと魚住氏は主張している。

⑥ 体を安定させて、「自信」をみなぎらせる

朗読をする際、体を安定させることは非常に重要。視覚からの情報は、受け取る側の感情と連動してくるため(ノンバーバル・コミュニケーション)、ゆらゆらと体を動かしながら話すと「自信がないのかな?」などと聞き手を不安にさせてしまうからだ。

もちろん手のジェスチャーや、体の向きを左右前後の観客全員に伝えるために動かす場合などは、自然な動きであるためこれにはあたらない。だがそれ以外は、基本的には体を安定させ、動かさないことが大切だというのだ。

なお、これにも呼吸が関係してくるという。