<世界2位のマンガ消費国・フランス>ONE PIECE、NARUTO…日本の作品やキャラクターが日常生活に浸透しているワケ

2024.09.18 Wedge ONLINE
グッズとセットにした特装版はプレゼントにも人気だ(筆者提供)

 それが可能になるくらい、フランスでは漫画は一過性のブームではなく、読書習慣の一つになっている。ジャンルを問わず「好きな本」を尋ねるアンケートでは数年前、漫画『ベルセルク』がランクインしたこともあった。50代より下の世代の男性に『好きな漫画』を尋ねたら、誰もが一人必ず1作品は答えられるはずだと、ファズロ氏は言う。

 「かつての日本の”オタク”のように、アニメ・漫画好きをネガティブに見る目はフランスにもあります。アート性を認めず、親や先生に厭われるカウンターカルチャーとして扱う姿勢です。しかしそれもだいぶ弱まり、大多数の人々はれっきとした文化として漫画を捉えています。

 大学で研究され、公立図書館に並び、親子が一緒に読む。日本ほどではないにしろ、漫画は出版界の大きな一角を担っているのです」

 ある場所では当たり前すぎて価値の見えにくくなっているものが、別の場所で異なる社会背景にマッチして大好評を博す、という現象がある。フランスにおける日本漫画の人気と普及は、まさにその好例だろう。

 今こそ改めてその熱い親愛を、驕らず歪めず、正当に受け止めたい。そうして日本人自身が日本文化の真価を再認識することは、未来へのさらなる発展に繋がっていくはずだ。