――吉村投手の台頭がある中で、エースとしての活躍が期待される高橋奎二投手が、なかなか波に乗れません。4月21日の読売ジャイアンツ戦では、6回無失点で2勝目をマークしたものの、試合後に監督は「まだまだ注文がある」と発言しました。この発言の真意を教えてください。
髙津 ちょっと大げさで、考えが古いのかもしれないけど、「エース」と呼ばれる存在というのは、いつも試合の終盤まで投げて完投したり、完封したりする存在。あるいは、週に一回、いつも同じように安定したピッチングでチームに勝利をもたらす存在。そういうピッチャーだと思います。でも、彼の場合は、まだまだそんな存在にはなっていません。まだまだ調子にムラがあったり、勝ったり負けたりを繰り返したり、ある程度の時間をかけないときちんとリカバリーできずにいいパフォーマンスが出せなかったり、まだまだ注文すべき点は多いですね。
――二軍監督時代から目をかけてきている高橋投手だからこそ、注文が多くなるということですか?
髙津 もちろん、他の投手に期待をしていないというわけじゃないから、言い方は難しいですけど、「奎二ならできる」「彼なら、この先必ずできるようになるだろう」という思いが、僕の中にあるから言っているのは事実です。ただ、ファームの頃から比べると、彼はものすごく成長しています。技術面はもちろん、身体のこと、考え方、かつての彼とは比べ物にならないほど、できることも格段に増えています。
――でも、さらに飛躍するためには、もっと「何か」が必要だということですね。
髙津 本当のエースになっていくには、「まだまだあと何年かかるかわからない、もう少し時間がかかるぞ」とは思っています。でも、彼は確実に成長しているのは確かです。
――一進一退の戦いが続く中で、ようやく戦力も戻りつつあります。改めて今後の意気込みを教えてください。
髙津 5月、6月はずっと6連戦が続きます。地方球場での試合もあって、体力的にもなかなか大変な日が続きます。まだまだ勝敗に一喜一憂する時期ではないけど、一試合一試合を大切に戦っていくつもりです。引き続き、「応燕」をよろしくお願いします!
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