2022年、盤石といえる強さでセ・リーグ2制覇を果たした髙津ヤクルト。主力、ベテラン、若手がそれぞれの役割を果たし、まさにチーム一丸となって勝利をもぎとった。
追われる立場の今シーズン、髙津監督はどんなビジョンを持ち、ここからどのようにチームを進化させていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――ゴールデンウィークも終わり、ペナントレースもさらに白熱しています。故障者も相次いだこともあり、4月は11勝13敗1分で4位という成績でした。まずは、ここまでの戦いを振り返ってください。
髙津 おっしゃる通り、あまりにもケガ人が多すぎます。リハビリセンターがパンク寸前ですから。これは、編成部であったり、トレーナー部であったり、我々首脳陣であったり、チーム全体で改善していかなければいけない問題です。デッドボールや自打球などの不可抗力はともかく、休ませるときには休ませる起用法など、僕なりに考えてやっているつもりですけど、まだまだ僕の考えや気遣いも足りないのかもしれない。そんな思いを持ちながら毎日を過ごしています。
――開幕直後は、投手陣が好投を続けるものの、なかなか打線が爆発しませんでした。一方で、5月に入ると攻撃陣に当たりが戻り始めたものの、今度は投手陣が大量失点を喫する試合が続いています。故障者の復帰を待つこと。投打の歯車が噛み合うのを待つこと。監督業は「じっと待つ」ということがとても大切だと思います。
髙津 僕自身、昔から我慢強い方だと思います。でも、ただじっと待つだけではなくて、きちんと現状でできることをいろいろと考えて、ベストな方法を探し出す努力は続けなければいけない。そのために、コーチたちとは常に「この方法はどうだろう?」「こうしてみようか?」と考え続ける必要があると思っています。
――5月に入り、離脱していた塩見泰隆選手や山田哲人選手もスタメンに名を連ねています。ファームでは奥川恭伸投手も試合に投げ始めています。奥川投手についてはどのように見ていますか?
髙津 まずは、試合で投げられたということは非常に嬉しいです。本人の表情を見てもすごく喜んでいるのが伝わってきますよね。もちろん、これまで何度も言っているように、決して焦らず、自分のできる範囲で頑張ってくれたらいいなと思って見ています。
――ピッチング内容についてはどのように評価していますか?
髙津 正直、僕自身が想像していたよりもずっといいボールがいっていることについては「こんなに投げられるんだ」ってすごく驚きました。だからと言って、「いつ頃一軍に呼ぼうか?」とすぐに考えられる状況ではないけど、彼が投げる一球一球を見ていると、「やっぱり、ヤスはいいな」という思いが改めて強くなったし、繰り返しになりますけど「投げられてよかったな」という気持ちが大きかったです。