2023ヤクルト髙津流 躍動の燕マネジメント

燕打線復活の兆しも、増える失点――
高橋奎二、ルーキー吉村貢司郎への期待

待望のプロ初勝利・吉村貢司郎について

――4月30日の阪神タイガース戦では、プロ5試合目にして、ルーキーの吉村貢司郎投手が6回97球を投げて、2安打1失点という内容で待望のプロ初勝利を記録しました。吉村投手についての評価を教えてください。

髙津 開幕以来、いいピッチングは見せているけれどなかなか勝ち運に恵まれない状態が続いていました。でも、オープン戦以来「さすが社会人で経験を積んでいるな」と感じさせる堂々たる振る舞いは高く評価していました。まだまだできないこともありますけど、ルーキーとしてはできることの方が多いですし、勝てていないときでも「すぐに勝ち星がつくだろうな」と思って見ていました。

――打者との駆け引き、走者がいるときのセットポジションやクイックモーション、あるいはバント処理や牽制球などなど、ピッチング以外にもやるべきことはたくさんあると思いますが、及第点をあげてもいいという評価ですか?

髙津 さっきも言ったように、プロの世界でもっともっと成績を残していくためには、まだまだやるべきこと、覚えなければいけないことは多いですけど、現時点では十分に及第点をあげてもいいと思います。プロ初勝利の試合では、初回に3つもフォアボールを与えてしまってどうなることかと思ったけど、しっかりと0点で切り抜けることができたのがすごく大きかった。あの試合までチームは7連敗でしたから、かなりのプレッシャーもあったはず。本当にいろいろな思いが詰まったプロ初勝利だったと思います。

――今後も、貴重なローテーションの一角として頼りになる投手の誕生ですね。

髙津 プロ初勝利を挙げたことで、これからは新たな気持ちでマウンドに立つことができると思います。あとは、ペナントレースは長いので身体のことだけが心配です。年間を通じて先発するとなれば25試合前後、百何十イニングを投げることになると思うんですけど、それが可能となるかどうかは、僕らが途中で適度に休みを与える必要が出てくると思います。「年間を通じて、きちんとコンディションを整えてあげたい」という思いは、とても強く持っています。ただ、今のチーム編成では休ませてあげるのは難しい。

ご感想はこちら

プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
出版をご希望の方へ

公式連載