2022年、盤石といえる強さでセ・リーグ2制覇を果たした髙津ヤクルト。主力、ベテラン、若手がそれぞれの役割を果たし、まさにチーム一丸となって勝利をもぎとった。
追われる立場の今シーズン、髙津監督はどんなビジョンを持ち、ここからどのようにチームを進化させていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――開幕から1カ月が経過しました。連勝もあれば連敗も経験しつつ、セ・リーグ最速で10勝に到達もしました。ここまでの戦いぶりはどう見ていますか?
髙津 「開幕5連勝」とか、「リーグ最速10勝」とか、もちろんチームが勝っている証拠なので気分が悪いわけではないです。数字はウソをつかないので、「選手たちが頑張っているな、よくやっているな」とも思います。でも、前回も言ったように、まだペナントレースは始まったばかりだし、先が見えないトンネルの中を走っている状態ですからね。この先にどんな障害物が待っているのか、どんな山や谷が待ち構えているのかは想像してもしきれないですし、「当然、大変な時期はやってくるんだろうな」と思いながら、毎日を過ごしています。
――明確な区切りはないのかもしれないですけど、いつ頃になれば「始まったばかり」という時期を抜けるのでしょうか?
髙津 今だったら、交流戦だったり、オールスターであったり、そのような区切りの時期じゃないですかね。あるいは、少なくとも80試合程度を消化するぐらいまでは、この先の戦い方のイメージは抱きつつも、具体的なアクションに移る時期ではないと思っています。
――交流戦やオールスター、あるいは80試合程度消化するまでは混沌とした状態の中で、他球団に引き離されないように食らいついていく。そんなイメージでしょうか?
髙津 今年は変則的な日程で始まりました。今シーズン、ジャイアンツとの最初の対戦が4月21日でしたけど、開幕からおよそ1カ月してから、セ・リーグ各球団とようやくひと回り目の対戦を終えたわけだし、やっぱり「まだまだ始まったばかり」という印象は強いです。だから「セ・リーグ10勝一番乗りだ」と聞いても、まったく浮かれた気分はないですし、日々やるべき作業で頭がいっぱい。現時点ではそんな感じです。
――今季の開幕前には「クローザーを誰にするのか?」ということが大きな課題でした。結果的に田口麗斗投手が抑えを任されることになりましたが、ここまでの彼のピッチング内容をどのように評価していますか?
髙津 もちろん、「頑張っているな、よくやっているな」と思います。でも、これもチームの戦い方と一緒で、彼も10試合前後に登板しただけですから、まだ評価を下すのは早いと思います。クローザーというのは、年間を通じて50~60試合を投げてもらう存在ですから、本当の判断はそのときにすべきだと思います。でも、さっきも言ったように、ここまではチームを引っ張る、特にリリーフ陣全体を引っ張ることも含めて、よくやってくれていると思っています。