2021年ついにセ・リーグ制覇、日本一を成し遂げた髙津ヤクルト。その悲願の裏には「絶対、大丈夫!」の言葉が物語る、髙津臣吾監督の卓越したチームマネジメント力があった。
王者として迎える2022年シーズン、髙津監督はどのように戦い、どのようにチームを進化させていくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――ペナントレースもいよいよ終盤となり、残り30試合となり、横浜DeNAベイスターズの追い上げが続いています。監督は常々、「ムチを入れるタイミングの見極めが大切だ」と話していますが、今後についてどのようなイメージを描いていますか?
髙津 これから、ますます大変な日々が続いていくんだろうなという思いは強く持っています。選手たちのお尻を叩いて、「さぁ、行け!」という日々も近づいていると思います。今はまだ詳しく言えないけど、もう少し先にその時期は来ると考えています。
――ムチを入れるのが早すぎると息切れしてしまう。逆に遅すぎると間に合わない。その辺りの見極めの基準などはありますか?
髙津 我々の場合は、日々「勝った、負けた」という結果が出るので、そこがいちばんのポイントにはなりますけど、チーム内における雰囲気であったり、選手の表情を見たりする中で、臨機応変に見極めていこうと思っています。
――「現役時代から、ほとんど緊張したことはなかった」と、監督は発言していますが、現在のこのヒリヒリするようなデッドヒートにおいても、緊張はしていませんか?
髙津 もちろん、毎日試合があるわけだから、意識していないところで緊張はしているとは思います。でも、試合前にはその日の対戦のための予習をするし、試合後には反省をするし、その繰り返しなので「緊張」というものは、ほぼほぼないと思いますね。
――むしろ、こうした状況を「楽しい」と感じているということはあるんですか?
髙津 「楽しい」というよりは、大きなくくりで言えば「幸せだ」というのがいちばん近いかもしれないですね。50代を過ぎても若い選手たちと一緒にグラウンドに立って野球ができるというのは本当に幸せです。なかなか勝てなかったり、なかなかうまくいかなかったりということもあるけど、それは決して「不幸」ではなくて、それも幸せの一部分だと思います。繰り返しになるけど、この年になっても勝った、負けたで、喜んで、悔しがってというのはすごく幸せだと思っています。