2021年ついにセ・リーグ制覇、日本一を成し遂げた髙津ヤクルト。その悲願の裏には「絶対、大丈夫!」の言葉が物語る、髙津臣吾監督の卓越したチームマネジメント力があった。
王者として迎える2022年シーズン、髙津監督はどのように戦い、どのようにチームを進化させていくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――プロ野球史上初5打席連続本塁打の大記録を打ち立てた村上宗隆選手が8月6日、特例2022の対象選手として出場選手登録を抹消されました。幸いにして、翌7日には一軍昇格して試合にも出場しましたが、連続試合出場、そして四番としての連続出場記録も途絶えてしまいました。
髙津 まずは、一日で戻ってくることができてよかったなと思います。ちょっとだるさは残っているということだったけど、「プレーできる範囲です」ということだったのでスタメン起用しました。打撃の状態も練習では悪くなかったと思いました。グラウンドに村上の姿があるということは、相手からしたらすごく嫌だと思います。
――先日、コロナ禍に見舞われた際に監督自ら村上選手に電話をかけたという報道がありました。LINEでメッセージを送ったり、電話をかけたり、選手に対するコミュニケーションはどのように考えていますか?
髙津 集団でコロナ陽性者が出たときは、全員にLINEもしましたし、直接電話もかけました。「体調はどうだ?」とか、「発熱はあるのか?」といった簡単なやり取りですけれど、一応、全員の声は直接、自分の耳で確かめましたね。もちろん、体調に関してはトレーナーからの報告は受けていたけれど。
――それは、トレーナー任せではなく、「自分で連絡することに意味がある」と考えたからですか?
髙津 僕が電話したところで、彼らの症状がよくなるわけではないということは、もちろん僕だってわかっています(笑)。だけど、「しっかり療養しなさい」ということは、トレーナー、あるいはコーチに言われるよりも、「監督自ら伝えられた方がより強く自覚するのではないかな」とも思ったし、「前向きな気持ちを忘れずに、元気で頑張れ!」と声をかけるのは僕の仕事だと思いました。
――その間、監督自身も自宅療養期間中でした。監督自身は落ち込んだり、気持ちが萎えたりすることはなかったのですか?
髙津 いや、もちろんいろいろ考えましたよ(苦笑)。シーズン中にもかかわらずプレーできない、現場にいたいのにいられない。この感覚は、シーズン中にホワイトソックスをクビになったときのものと一緒でした。あれは2005年7月のことだったんですけど、昨日まで一緒にプレーしていた仲間たちの試合を自宅で見ているんです。あのとき、「オレは一体、何をやっているんだろう?」って、すごく寂しい思いをしました。17年前の感情がよみがえりました。今回もすごく辛かった。すごく寂しかったですね。