2021年ついにセ・リーグ制覇、日本一を成し遂げた髙津ヤクルト。その悲願の裏には「絶対、大丈夫!」の言葉が物語る、髙津臣吾監督の卓越したチームマネジメント力があった。
王者として迎える2022年シーズン、髙津監督はどのように戦い、どのようにチームを進化させていくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――首位を快走し、7月2日には史上最速で「マジック53」も点灯しました。張り詰めた戦いが続く中で、今回は「リフレッシュの効用」「休養の重要性」について伺いたいと思います。6月12日に交流戦全日程を終了してから4日間のブレイクがありました。このとき監督は、選手たちに「明日は完全休養してほしい」と告げていました。その意図を教えてください。
髙津 せっかく4日間の時間があるので、「まずは上手な時間の使い方をしてほしいな」と考えました。初日の月曜日は選手たちだけでなく、僕もコーチもスタッフの方たちも、一度野球のことは頭から忘れて「しっかりリラックスするように」と指示しました。2日目には先発投手やファームのゲームに出る選手の調整練習はあったけど、基本的には2日間の完全オフを楽しんだと思いますし、みんなリラックスできたんじゃないかなと思います。
――監督ご自身も完全休養日でしたか?
髙津 自宅でずっとビデオによる研究はしましたけど、月曜、火曜はほとんど家から出なかったですね。歯医者に行ったくらいで(笑)。
――あえて「監督命令」で強制的に休ませるということも重要だということですか?
髙津 すべてにおいて、常に緊張感を保つことはできないですからね。長いシーズンで見たときには必ず休養する時間が必要になってきます。長い期間だけでなく、それは一日単位でも同様だと思います。試合前にはクラブハウスでリラックスして、試合でいい緊張の下に集中する。そして試合が終われば、またリラックスする。それはとても重要なことです。
――昨年はオリンピックブレイクもありました。その際には「この期間で心身ともにリセットする」とも話していました。今回の4日間についても同様の効果は得られましたか?
髙津 どうですかね? ただ、シーズン中は10試合、20試合経過した時点であったり、夏場であったり、シーズン終盤であったり、必ず選手たちに疲れが出てくる時期がやってきます。特にリリーフ投手など、「登板間隔を空けてあげたいな」と思う時期が来るんですけど、この4日間は非常にいいタイミングだったのかなという気はしています。
――交流戦優勝について、監督は「中継ぎ陣がMVPだ」とおっしゃいました。奮闘したリリーフ陣を休ませるためにはいいタイミングだったのかもしれないですね。
髙津 実際にこの4日間が効果的だったのかどうかというのは、ペナントレースが終わってからじゃないとわからないけれど、心身ともにリラックスする時間は必ず必要ですから、このタイミングで休みがあったことはよかったと思いますね。