2021年ついにセ・リーグ制覇、日本一を成し遂げた髙津ヤクルト。その悲願の裏には「絶対、大丈夫!」の言葉が物語る、髙津臣吾監督の卓越したチームマネジメント力があった。
王者として迎える2022年シーズン、髙津監督はどのように戦い、どのようにチームを進化させていくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――交流戦では、全18試合を戦って14勝4敗、貯金10で見事に優勝を決めました。全球団に勝ち越しての完全優勝。まずはこの結果について、率直な感想を教えてください。
髙津 本当によくやった、よくできた、よく頑張ったなと思います。もちろん、ペナントレースに直結する戦いではありますけれど、交流戦というのは、あくまでも長いシーズンの中の「18試合」という位置づけなので、「優勝した」と言われても、あまりピンとこないという思いもあります。ただ、パ・リーグと戦って二けたも勝ち越しができたというのは、本当によく頑張ったと思いますね。
――「貯金10」という結果はともかく、戦前に「勝ち越しできるだろう」「貯金は作れるだろう」というような目算や手応えはあったのですか?
髙津 「手応え」というのとは違うかもしれないけれど、「頑張らなくちゃいけないな」とは思っていました。もちろん、普段のペナントレースでもその思いはあるけれど、この交流戦期間中に、ここで失速したり、ここでうまくいかなかったりしたらイヤだなとは思っていました。そのためにいろいろ研究もしたし、いろいろ努力もしました。戦前には「とても大きな18試合になるだろうな」という思いは持っていました。
――監督は常々、「節目を大切にする」と口にしています。交流戦という節目も見事に乗り切りました。4日間のブレイクの後の広島東洋カープとの3連戦もスイープしました。監督としては理想の展開ではないですか?
髙津 もちろん、いい戦いができた、よく頑張ったという思いはありますけど、今はまだシーズン中だし、まだシーズンの半分にも達していない時期なので、現時点では「よく頑張った、よく頑張っている」としか言えないですね。
――その発言を受けて、なおさら聞きづらいのですが(笑)、スポーツ新聞紙上では早くも「マジック点灯」や「2位と●ゲーム差」などと興奮気味の論調も目立ちます。監督としては「気を引き締めなければ」という思いが強いのですか?
髙津 もちろん、僕も新聞も読みますし、テレビのスポーツニュースも見ます。その中で具体的な数字を出されると、「まったく見ていない、まったく気にしない」というとウソになります。ただ、繰り返しになるけれど、まだ半分も経過していないところなので、これから何が起きても不思議じゃない。そんな浮かれ気分では勝負事には絶対に勝てない。それは僕だけではなく、選手たちもみんなそう思っていると思います。