2021年ついにセ・リーグ制覇、日本一を成し遂げた髙津ヤクルト。その悲願の裏には「絶対、大丈夫!」の言葉が物語る、髙津臣吾監督の卓越したチームマネジメント力があった。
王者として迎える2022年シーズン、髙津監督はどのように戦い、どのようにチームを進化させていくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――ペナントレースが開幕して、一カ月が経過しました。現状の戦いぶりをどのように見ていますか?
髙津 奥川恭伸の離脱、サイスニード、今野龍太の出遅れといった事態がありつつも、ピッチャー陣はよく頑張っているのかなと思います。先発陣はもちろん、リリーフ陣もしっかりゲームを作れている。本当によく頑張っていると思います。問題はバッター陣、打線の繋がりですね。
――開幕前に中村悠平選手がコンディション不良により離脱、4月7日にはサンタナ選手が登録抹消、その後は検査のため緊急帰国してしまいました。
髙津 開幕以来、昨年日本一になったメンバーが一度も全員そろっていない状況が続いていて、なかなか得点を挙げるのが難しいのが現状です。「何とか点を取る方法はないか?」といろいろ考えながら打線を組んでいるけど、昨年のようにフォアボールで繋いで粘り強く1点を取るといった、「打線の繋がり」はまだできていない。そうした中で、何とか5割前後で踏ん張っているというところです。
――開幕3連勝スタートも、直後に4連敗。その後は勝ったり、負けたりで勝率5割を行ったり来たりしています。
髙津 4連敗に関しては反省すべき点はたくさんありますけど、その後は「誰かがやられたら、誰かがカバーする」という姿勢が見られて、大きな連敗をしていないのはいいことだと思います。でも、逆に言えば大きな連勝もできていない。よかったり、悪かったりの繰り返しが続いていますね。
――連敗がない点については「よく踏ん張っている」という見方ができる一方、連勝ができていない点については「決め手に欠ける、勝ちきれない」ということでしょうか?
髙津 連勝できないというのは、間違いなく「先に点を取って逃げ切り態勢を図る」ということができていないからです。そして、連敗がないというのは「少々、点を取られても投手陣が何とか試合を作っている」からだと言えると思います。